あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2017年9月22日
練習、試合で声が出ず活気のないチーム。子どもたちが声を出すようになる「声かけ」はある?
みなさんのチームの子どもたちは、練習や試合で大きな声を出してプレーしていますか? 今回ご相談いただいたのは、大人しい小6の子どもたちを指導するコーチ。「5年生の時に1年間色々やってみたけど、今も声を出してプレーできない」とお悩みを寄せてくれました。
これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんはどのようなアドバイスを授けたのでしょうか。(取材・文:島沢優子)
<お父さんコーチからの質問>
U-12、U-10以下を指導しています。
チームの最上級生ですが、おとなしい子どもの集まりで、挨拶も小さい声で、練習、試合になっても大きな声を出してプレーが出来ません。
自信がないからか、失敗しても構わないから積極的に声をだしてやろうと言ってもなかなか声は出ません。5年生の1年間に色々とやってみたのですが、現状声は出ていません。
どのようにしたらよいのでしょう?
<池上さんのアドバイス>
ご相談、ありがとうございます。
練習中声が出ない状態を修正したいのですね。声が出ているほうが活気も出てきますね。では、ご相談の方は、子どもたちにどんな声を出してほしいのでしょうか。
相談文には「おとなしい子どもの集まりで、挨拶も小さい声」とあります。「積極的に声をだしてやろう」と言ってもなかなか変わらないと書かれていますが、もしかしたら「頑張ろう!」などの励ましの声でしょうか。
私が重要だと考える「声」は、主にプレー中の「コーチング」です。
■子どもたちの「理解度」によって声かけのしかたが異なる
声が小さかったりすると、仲間のプレーに対するせっかくのコーチングが伝わらないことがあります。コーチングとは、例えばボールを保持した仲間に対し「後ろから相手が来てるよ」「○○君が右にいるよ。フリーだよ(だからパスして)」といった、次のプレーを示す言葉です。
もし、そんな声が小さくて伝わっていないのであれば「アイデアあるんだから、もったいないよ。もっとしっかり声を出して、仲間にコーチングしよう」とアドバイスしてあげてください。
一方で、子どもたちのなかでサッカーの理解度が乏しいために、そのようなコーチングができないケースもあります。そのような場合は「今どこにスペースがあるかな? 誰がサポートに行ったらいい?」と問いかけながら、理解を深める作業や練習が必要でしょう。
最適なトレーニングは、数的優位が起きやすいかたちでゲームをすることです。
2対1、3対2、4対3を行うと、場面場面でフリーの子が生まれます。それを他の子が教えたり、パスを出す子が誘導する声を出す。そんな場面が増えて、理解が深まるでしょう。
■子どもたちに響く「意味のある声かけ」とは
ジュニアの試合を観に行くと、「頑張ろうぜ!」「負けるな!」とよく声が出ているチームがあります。大半は、プレーに対するコーチングもできているし、前後半の終盤近くに「ここ集中していこう」とか、点を取られたら「取り返そうぜ」「最後までやり切ろう」といった意味のある声がけができています。
その一方で、コーチのほうが「頑張って声出せ」とか「もっと盛り上げていけよ」などと働きかける場面にもよく遭遇します。大概、選手はハッとした顔でベンチを見て、「こ、声出していこう」などと言い始めます。でも、指示されて出す声なので、なんとなく形だけのように聞こえるのは否めません。
つまり、意味のある声かけは何か、ということを選手と共通理解をしていることが重要なのです。
また、大人が気をつけなくてはいけないのは、子どもたちの表面だけ見て判断しないこと。大人しいからもっと元気よくしてほしいと感じるかもしれませんが、彼らが失敗を恐れず思い切ったプレーをしているのなら「もっと元気よくプレーしろ」といったアドバイスは必要ありません。
自分からボールを呼び込む声や、前述したように仲間に働きかけるコーチングができているかどうか。そちらのほうをぜひチェックしてください。
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