あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2017年9月29日
スペースを使う意識を高めたい。ボールがないときの動きを身につける練習はある?
ボールが無いところの動きを身につけさせる時、みなさんはどのように指導しているでしょうか。今回は女子中高生にスペースを意識した動きを身につけさせたいコーチからご相談をいただきました。
これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さん。今夏のドイツ訪問で目にしたU-15ドイツ代表女子チームの練習方法を元にアドバイスを授けます。(取材・文:島沢優子)
<お父さんコーチからの質問>
学校の顧問として中高の女子サッカー部を指導しています。
スペースの認識があまりなく、スペースに走りこむ選手がなかなかいないので攻め手に困っています。
止める蹴る運ぶの基本を徹底しつつも、動きの質を上げるメニューはありませんか?
<池上さんのアドバイス>
ご相談、ありがとうございます。
「スペースの認識があまりない」
「スペースに走りこむ選手がいない」
これらはどちらもボールのないところでの動きです。つまり、ボールを保持しないとき、チャンスを広げるためにどう動くか。そこのところの質を高めたいということですね。
これは、小学校高学年くらいから中学生年代にかけて、日本の育成指導の大きな課題ではありますが、実はJリーグの選手であっても、ボールがないところで有効な動きができる選手はそんなに多くいません。
■どうしてそこに走るのか、サッカーの構造を理解する練習を
では、どうやって動きの質を高めたら良いのか。
実はこの夏、ドイツへ研修旅行に行ってきました。目的は、ドイツサッカーの「グラスルーツを知る」です。
よって、ブンデスリーグの下部組織ではなく町にあるクラブチームを中心に見学したのですが、それ以外にネフという町にある「ネフスポーツシューレ」で偶然U15女子ドイツ代表の練習を見ることができました。ここのスポーツシューレは代表チームが合宿をしたりするところです。
このとき、15歳以下の女子代表の選手たちがまさしく、この「ボールがないときの動き」を磨く練習をしていました。
それは、ディフェンスをつけずにボールをつなぐもの。
例えば、相手陣内でのスローインの場面。ひとりがボールをもらいに寄ってくる。中央からスローワーの前を横切るようにして走ります。
スローワーがその選手に向けてボールを投げる、そのボールをダイレクトでピッチに入ってきたスローワーだった選手に返します。そして、その選手がそのボールをコントロールしてドリブルでなかに切れ込んでシュート。
試合の中でも似たような場面があるので、非常に実戦的な練習だと感じました。
このようにして、サッカーの成り立ちを理解させる動きを何パターンも、何度も行います。このような練習が試合で生きるわけです。
まさしく「試合のための練習」になっています。私たちの国は「練習のための練習になっている気がする」と悩むコーチが多いので、非常に参考になると思いました。
そのうえ、アドバイスが非常に細かいです。
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