あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

2017年10月20日

ひとりだけ際立って上手いが、横柄な態度の子。チームプレーヤーだと認識させる方法はある?

■デビューしたてのメッシも...

私は大学で実技の授業をする際「みんなが楽しくできるためには、何が必要かな?」と問いかけます。

例えば、サッカーをするときは、サッカー部の男子と女子の選手たちが自分たちの上手いプレーを見せるのではなく、自分たちの技術を生かして他の学生達がどうやって楽しめるかを考えてもらうわけです。

例えば、パスをダイレクトで回す練習をすると、すぐにパスしなくてはいけないので長くボールを保持しなくなります。そのうえ、誰かがすぐにもらってあげなくてはならないため、みんながパスを受けられるスペースに動きます。

そうなると、みんなが頑張って走るようになり、集中し始めます。
そのなかで、サッカー経験者の選手たちは、うまく攻撃のかたちができるようなアクセントになるプレーをしてくれます。

終わった後「みんなメッシになれたかな?」と話します。
それはこんな話です。

メッシ(FCバルセロナ)がデビューしたとき、世界が「すごい選手が出てきた」とそのドリブルや技術に驚愕しました。

ところが、オシムさんは「ふーん。メッシもまだまだだな」と言いました。
なぜ「まだまだ」なのかといえば、その頃のメッシは周りにパスを出したり、サポートに行くプレーがまだできていなかったからです。

その後、メッシは、オシムさんの言った「まだまだ」な部分をしっかり埋め、他者にゴールさせたり、チームのために働ける選手になりました。だから、バルセロナは世界王者になったのです。

ご相談の方のチームにいる上手な子は、デビューしたてのメッシと似たような状況なのだと思います。

その子が自分の意思で、自分から変われるよう、ぜひ手伝ってあげてください。

池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。

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