あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2018年3月23日
抜かれるとあきらめる。切り替えの重要性に気づいてほしいのだが、どう言えば気づく?
■「どうしたら勝てるか」を自分たちで考えさせる
ふたつめは、コーチが試合中に指示をしないこと。
「切り替えろ!」
どのクラブの指導者も、中学生にそんな声がけをしています。悪い声がけではないのですが、口酸っぱく言ったからといって改善されるわけではありません。
そもそも、多くの中学生たちが「どうしたら勝てるか」と自分たちで考えていません。
コーチから指示されるのを待っています。なぜなら、小学生のときから、コーチから指示された通りにやることが大切で「コーチの言うことを聞いたら勝てる」と信じてサッカーをしてきたわけです。
ですので、そこを修正しなくてはいけません。
「試合中、コーチは何も言わないからね。自分たちで声を掛け合ってやってごらん」と送り出します。主体的に、自主的にサッカーと向き合ってもらいます。
「えーっ! どうしたらいいの?」と、中学生たちは動揺するかもしれません。そこで、ヒントを与えてあげてください。
「君たちはひとりで戦っているわけじゃないよね。仲間がいるよね。お互いに足らないことをアドバイスし合って、確認しあえばいいんじゃないの?」
子どもたちが「よし、自分たちでやろう!」と本当に思ったら、試合中はコーチングし合うはずです。
「そこ、縦、切れ!」
「(相手との間合いを)詰めろ、詰めろ。カバーいるよ」
そんなふうに声を掛け合うでしょう。
そのなかで、コーチが気になっていた選手は、違う姿を見せることでしょう。相手に抜かれた途端がっくりと肩を落としていたのが、抜かれても奪い返しに行く、もしくは抜かれた相手から次にパスが出るかもしれない場所を探して必死に戻る。
それに、もしかしたら足が止まってしまっていたのはその子のせいだけではないかもしれません。他の選手との連携が悪くカバーしてもらえないことが続いてしまって、そのため、あきらめて追わなかったのかもしれません。
指導者は、抜かれてしまった失敗を指摘するよりも、その状況をよく見てあげましょう。抜かれた際に周りからケアをする声がけが出ていなのか、予測するために何を見たらいいのかを考えさせること。
そこを意識していたら、大人の側もひとつひとつのプレーに対しコーチングをする余裕はなくなるはずです。