あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

2018年3月30日

上手い子がほかの子をバカにする状況を変えたいが......アシスタントコーチの苦悩

■みんなで勝つ、サッカーとはどんなスポーツかを考えさせるのが大人の役目

※写真はサカイクキャンプの写真です。 質問者及び質問内容とは関係ありません

話をもとに戻しましょう。


チームをABで分けたとしても、常にその編成を固定化しないほうがいいでしょう。


「今日はAもBも一緒にやるよ」でもいいし「今日はチームのメンバーを入れ替えます」もしくは、2チームをほぼ同じ力量にして紅白戦をやってもいいでしょう。

その際、子どもたちにはサッカーというスポーツについての理解を促します。


「サッカーはチームスポーツだから、中に少しばかりできない子がいればみんなで協力してカバーしあおう。それがサッカーですよ」

僕は下手だから、試合に出なくていいと言う子や、子どもは残酷ですから「下手な子がいると試合に負ける」と言う子もいるでしょう。

そういう子どもには、「上手い子だけでないと試合に勝てないのですか?」と聞いてみましょう。

「みんなで力を合わせて勝つにはどうしたらいいか考えませんか?」と尋ねてみましょう。


そういう子どもたちと向き合うためにも、少年サッカーにかかわる大人は「勝つこと(結果)だけが大事じゃない」ということを理解しなくてはいけません。みなさんは「子どもが勝ちたがる」と言いますが、「勝つことだけがすべてではない」と伝えるのが私たち大人の役割ではありませんか?

要するに「サッカーが上手いからOK」ではないということです。

繰り返しになるかもしれませんが、Aチームだからマルではありませんし、Bだからバツではありません。

「Bチームでプレーしているけれど、みんな同じレベルだからやりやすいのではないかな? これとこれができるようになったら、Aチームでやってみようか」そんなふうに息子さんに話してみてもいいでしょう。

池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。

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