あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

2018年5月25日

上手な子の言いなりになりがち。上手な離れかたは? 良い方法を教えて

■子どもが自分で考える「ベース」を作ることが重要

※写真はサカイク女子キャンプの写真です。 質問者及び質問内容とは関係ありません

問題解決の話し合いに限らず、サッカーでも、子どもが自分で考えるときの「ベース」をつくることが重要です。それは、物事の成り立ちを教えることです。


例えば、サッカーの攻撃がうまくいかないとき。「自分で考えろ」と言って終わるのではなく、ボールを奪い返したら、まず一番遠くの相手ゴールに近い人がフリーになりそうかを見る。そうでなければ、サイドにパスを出す。そこからは、こんな展開もあるし、あんなやり方もあるね。そんな基本形を一度やってみると、子どもたちはサッカーの成り立ちを理解するようになります。それが考えるベースのひとつになるわけです。

その通りにやらなくても、自分のアイデアがひらめいたらやってみる。ミスになったら、どうしたらよかったのか考えてみる。そんな習慣がつけば、仲間やコーチに意見を求めてくる場面も増えます。

そういう子どもを育てるのが、少年サッカーのコーチである私たちの大きな役割です。彼らが成長した際、不条理を押し付ける大人や他者に出会っても、正しい判断ができる。自分の考えを貫き通せるように。

いま大きな注目を集めているアメフトのタックル問題をみると、そんな力をつけさせることが必要だとあらためて思います。

■民主主義とは多数決で決めるものではない

また、ご相談のなかで気になったことがひとつあります。

「最初は民主主義でやっているのですが......」の部分です。
民主主義は、話し合ったら最後に決をとって物事を多数決で決めていく、といった単純なものではありません。まずは民主主義をコーチの方々がどのように理解しているかを問い直してください。

少数意見をきちんとすくい上げているか。なかなか意見の言えない子が口を開けるような空気をみんながつくっているか。


そういったことを子どもたちと一緒に考えてほしいと思います。

池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。

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