あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

2019年1月19日

上手いけど仲間にキツい子をどう扱えばいい? 相手のことを考える力を身につけさせる指導を教えて

■乱暴だったり言動がキツい子の背景に隠れているもの

また、ご相談者様は「大人をなめた態度をとる」と書いてますが、だからこそスポーツで育ててあげるといいのではないでしょうか。

スポーツでこんなことを学んでいくといいんだ。そんなふうに考えてください。社会で役立つことが、間違いなくスポーツにあるのです。

指導されているのは6~8歳の年齢なので、個人技術の練習が多いかもしれません。ですが、そのなかに「これを二人で協力してやってごらん」とか、「楽しいね。二人とも笑ってるね」と言えるようなメニューを入れてあげてください。

つまり、他者を感じられる練習です。そのなかで、スポーツの価値を味わえるといいなと思います。そういう仕掛けを大人がしていくことが必要です。


写真はサカイクキャンプです。 質問者及び質問内容とは関係ありません

 

また、乱暴だったり、言動がキツい子どもは、背後に家庭的な環境や問題が隠れていることがあります。

そのことをスポーツ少年団や地域のクラブで解決するのは、現実的には難しいことです。クラブによっては児童教育のプロが指導しているところもあるので、そういった方々はぜひ配慮してほしいです。

一般の方にはハードルが高いかもしれませんが、そこを知ったうえで意識して指導すれば変わっていくこともあります。

前出の授業の話に戻りましょう。
授業は適切な部活指導を学生に伝えるものだったので、「パワハラや暴力なしでどう指導するか?」ということを、ビデオを通して考えてもらいました。

最後に、私はホワイトボードに「学ぶ」と書きました。学生がどう感じたかはわかりません。

少なくとも、「リスペクト・アザース」という言葉が、彼らの中に残ったと信じたいものです。

私たち大人も、学ぶ姿勢を忘れずに、子どもと向き合っていきましょう。

池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。

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