あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2019年3月22日
集団行動が苦手で練習になじめない子も楽しんでスッと入れる練習と接し方はある?
■大人たちの意識の共有が大事。子どもには楽しくサッカーをする権利がある
そして、このような指導を進めていくには、周りに理解を求めることが必要です。
人と違っている子が近くにいたら恥ずかしいですか?
個性とは見られませんか?
今は、違っていることを認め合うダイバーシティ、多様性が重要な社会になると言われています。まだまだ現実的に差別やハラスメントが残り、言葉が先行しているように見えますが、言葉で価値観を共有することは非常に大切です。
この子のことについても、受け入れる側の問題だということを大人たちが共有すること。そこが大事です。
「共生するために対応していきましょう」と、ほかの保護者やコーチに説明し、みんなで見守ってもらってください。
少子化、核家族、地域が機能しない。そんな子育て環境では、これから先もそんな子が増えると思われます。排除されたり、差別されてしまうと、その子たちは行き場がなくなります。
子どもが学校で学ぶ「学習権」という権利があるように、その子たちにもサッカークラブに入って、楽しくサッカーをする権利があります。指導者はそれを守ってあげないといけません。
ぜひみんなで話し合って、よい対応をしましょう。保護者の方々もさまざまな価値観をもっているので説得は大変かもしれませんが、ここをねばり強くやってほしいものです。
そうすれば、親も含めてとてもいいクラブになっていくはずです。うまいから威張っている、下手だから萎縮している、子ども同士のいじめなど、すべてが解決されていくはずです。
池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。