あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

2019年7月19日

全員を出場させて負けると「上手い子を出すべきだった」と保護者に言われる。自分のやりかたを貫いていいのか教えて

■試合に出ている子とその親だけが幸せ、でいいのか


(写真はイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

ただし、コーチは自分の持っているキャラクターを変える必要はありません。自分のキャラクターにないものをやるのはつらいですし、しんどくなります。

例えば、厳しく言ってしまう人は、子どもたちが主体的に取り組むように言ってあげます。

「自分たちでやるの? やらないの?」と厳しく伝える。

どんな言い方をしても、主体的にやることには変わりはありません。その代わり、選手がトライした末に出てきたミスをとがめたり、「なんでこうしないのか」とか「こうしたほうがいい」といったことはやらないことです。

怒り心頭になっていても「君たちがやるんでしょ」で通せばいいのですが、感情的になると「さっき、言ったでしょう?」とか「こうでしょ?」と答えを言ってしまう人が多いようです。言っていることとやっていることが違うわけですね。

子どもたちに任せる人は、あまり言葉を尽くしません。上達することと、楽しむことの重要性をきちんと伝えています。

「ふざけててうまくなるかなあ? 何したらいいかな?」と言うのと、「ふざけるな!」の人も、結果同じことを言っているわけですが、言われた子どもたちの受け止め方と、そのあとの行動はまったく違ったものになってきます。

私と出会った指導者の中には、「私は怖い顔をするからダメですね」という人もいらっしゃいます。でも、私はこう言います。

「怖い顔を変える必要はありませんよ。子どもたちが、ぼくらのコーチは怖いけど、ぼくらに任せてくれるよね、と指導方針を理解していればいいんですよ」

やり方を変える必要はない。

うまくなっていくためには工夫することが大事。そういったことを保護者達に伝えてください。

そして、所属する選手を全員出すことはぜひ守ってほしいと思います。もしも、全員出さないようにしたら、少し勝ち始めるかもしれません。そうすると、誰が幸せかというと「出ている子どもとその親」ですね。

全員で勝てたら、もっと幸せになれる。最後の学年、トップといわれる年代でそこを目指せばいいのです。

池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。

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