あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

2020年1月31日

まだ集中力が続かない年代の子どもたちも、みんなが楽しめる練習メニューはありませんか?

未就学児~10歳までを指導するコーチから、まだまだ集中力が続かない年代の子どもたちが楽しめる練習メニューについてご相談をいただきました。

みなさんは子どもたちの興味を引く練習メニューを考えるとしたら、どんな練習にしますか?

今回も、これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、練習メニューのアドバイスを送りますので参考にしてください。(取材・文:島沢優子)

(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

 

<<1年から6年まで25人をひとりでどう教える? 全員上手くなるメニューを教えて

 

<お父さんコーチからの質問>

こんにちは、いつも池上さんの連載を参考にしています。

ご相談なのですが、10歳以下の練習方法は何がよいですか?

練習時間は2時間あります。長ければいいものではないと思いますし、未就学児はまだ集中力がないので興味を引くものが良いとは思っているのですが、どんなメニューを組めばいいのか迷っており、ぜひ池上さんにアドバイスをお願いしたく思います。

おすすめの練習メニューを教えて下さい。

 

 

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

先日、京都で講習会を行った時のことです。

小学1年生を教えているというひとりの女性から、こんな質問がありました。

「池上さん、最近、試合をやりたくないという子がとても目につきます。以前より増えているみたいに思えます。どうすればいいでしょうか?」

このことについて、私も十数年前から気になっています。スポーツは試合が何より一番楽しいはずです。それなのに、練習はするけれど、試合はしたくないというわけです。さまざま理由はあるのでしょうが、自分が活躍できないのではないか。パスをもらえないのではないか。そんな不安を持っている子も多いのではと察しています。

 

■ゲーム形式の練習をたくさん入れて

小学生の指導をしているとき、やはり「試合には出たくない」という子どもが出てきました。そこで、3か月くらい試合ばかりしていました。「さあ、ゲームやるよ」と言って、試合をします。1時間ほどの練習は、ずっと試合です。そうすると、「試合は嫌だ」と話していた子どもたちの態度が「練習したくない、試合しよう」に変化してきました。

未就学児も、ぜひ試合をさせてあげてください。ゲームをするのがサッカーなのだ、ということを子どもたちに伝えることが肝要です。方法は三つあります。

ひとつめは、練習から「ゲームをたくさんやる」。

サッカーの入り口に立ったばかりの未就学児は、ゲーム形式の練習をたくさん取り入れてほしいのです。それなのに、未就学児を教えるとなると、1対1のボールの取り合いから始める人が少なくありません。1対1は試合ではありません。

ちゃんとゴールがあって、2対2、3対3と複数の人数でサッカーの試合をさせてあげてください。ゴールは大きなゴールでやったり、バーだけの小さなものでやったりと変化をつけてあげてください。

 

■競争や楽しくなる要素を入れて、飽きさせない工夫をしよう

次は「目先を変える」

飽きてしまわないよう、目先を変えてあげることは大切です。そこで片方が3人、片方はひとり。つまり3対1でもいいわけです。ゲーム形式のトレーニングをたくさんやってあげると、パスをつないだり、味方が抜かれてもカバーに行ったりとサッカーはチームでやるものだということを理解できます。

練習にしても、ジグザグドリブルやキックの練習など、単調なものになってはいないでしょうか。ジグザグドリブルであれば、それが競争になって勝ち負けを決する仕組みになっている。つまりゲーム感覚で行う。そんな競争や、楽しくなる要素を練習でつけていく工夫をしてください。

パスを出して、つないで、と、トレーニングをしているのに、試合をさせるとひとりでどんどんドリブルしちゃう子どもがいます。ひとりでドリブルで持ち込んでゴールしたらその子だけが喜んで終わり。自己完結しています。

そんな子を見かけたら「さっきやった練習はどうなるの?」と問いかけてください。子どもにも「みんなとボールをつないで入れたほうが楽しいよ」と伝えてあげてください。

 

■子どもが上達するのは、夢中になって楽しいとき。その空気を作りましょう

三つめは「試合に対する考え方を変える」

試合はちょっと別物。大人のほうがそういうイメージを抱いていないでしょうか。

「僕らは絶対勝たなきゃとまでは思っていないけど、やる以上は勝ちを目指します」

うーん。どっちなの? と言いたくなりますね。

楽しくやる。勝ちたいと思うかどうかは子ども次第。寄り添う大人のほうが意識を変えなければ、なにより勝つことが優先ですよといった空気があると、技術や心が追い付いていない子はとても苦しいですよね。子どもが上手くなる時は、夢中になって、楽しいときです。

心配無用です。ゲーム形式で、ちゃんとうまくなっていきます。

さらに、みなさんの相談で多いのは「ちゃんとボールを止められない、蹴れない」といったものが多いです。

そんなご相談には「試合をしている間に、どんどんうまくなりますよ」と伝えます。試合中に何回もボールが来れば、ボールコントロールの練習をしているととらえてください。そのためにはむやみにボールを蹴り返すのではなく、仲間につなげていく大切さを伝えていくことです。

そのなかで練習をする場合は「サッカーってこういうものだよ」というイメージを植え付けることに心を砕いてください。

ディフェンスがいなくて、ふたりでパスをしながらシュートする練習。20メートルくらいをふたりでパスしながら進んでいきます。進んだ先にはゴールがあります。そこにキーパーとしてコーチがいて、阻んだり、入ったりを調整してあげます。入ったら、「ナイスシュート!」と褒めてあげましょう。

いつもシュートを打つ子が決まっている、という可能性もあります。そこは、一回ずつシュートを打つ人を替えましょう。「交代でシュートを打つよ」と促します。そうすると、ふたりでシュートを入れるという感覚が身につきます。

 

次ページ:一人でドリブルして完結していない?

1  2

関連記事

関連記事一覧へ