あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2022年7月29日
仲間との協力プレーは大事だけど、ドリブルなど個のスキルも不可欠だと思う。U-8年代の指導は何に注力すべきか教えて
■今の日本は「サッカーを知らない」子どもたちを育ててしまっている
対面パスやジグザグドリブルのようなクローズドスキルだけでは、子どもは考えなくて済みます。日本のジュニアは足元の技術が素晴らしいと言われますが、それだけをやってしまうと頭で考える力がついてきません。現実に、チームでどこに動けばよいかを考える姿が、日本のジュニアにあまり見られません。指導が後回しになっているからです。後回しにしてよいのは、足元の技術練習のほうです。
そのあたりの順番が逆なので、子どもたちは賢く育っていません。技術はしっかりしているけれど、サッカーを知らない――そんな子どもたちを育ててしまっています。
思えば2年生から8人制というのも、私から見れば違和感があります。ドイツでは今、10歳以下は3対3の「フニーニョ」(※)です。サッカーを始めた入り口に近い2年生から、いきなり8人制で試合をしてしまえば、子どもたちはどう動くのか、どう見るのかを一切学べないまま試合をしなくてはなりません。
※フニーニョとは?
ドイツが育成年代に導入しているフニーニョとはこんなルール>>
池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。