あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2023年8月25日
声が出せない子どもたちには具体的なワードを教えるのが良い? それともサッカーの理解を深めるべき? どうしたら声が出せるようになるか教えて
■「最終形は何か」を話し合うこと
練習するなかで「最終形は何か」ということも話し合ってください。声を出さなくても通じ合うこと。そんな話が出るでしょう。子どもが賢くなれば「どっちに欲しいか指示しなさい。右足に欲しいときは右手を出すように」とコーチに言われても、それでは相手にばれてしまう、と考えます。そうしながら逆に出すことを考え出す子もいます。
チームとしてサッカーの理解が進むと、逆に声は出さなくなります。相手をだまして、かわしてゴールに進む。サッカーのようなボールゲームはその連続なのです。そのなかでお互いの阿吽(あうん)の呼吸みたいなものを作っていきます。そのためにプロ選手は毎日一緒に練習するし、代表でも長く一緒にやっていればそれが強みになります。
「サッカーってチームでやるよね。右に行ってほしいなと思ってたら、行ってよって言ったほうがいい。もらう側も、ちょうだいって言えばいい。そこはオフサイドポジションだからパスしないよ、というのもあるね。チームで助け合ってサッカーをするために声を出そう」
例えば、そんなふうに子どもたちに話してみてください。
池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。