JCYカラダケアプロジェクト
2023年8月 8日
睡眠のポイントは朝ごはん!知っておきたい睡眠と栄養の関係とは?
みなさんは、毎日よく眠ることができていますか? JCY保護者アンケートでは、「朝なかなか起きられない」「睡眠時間が不足している」「寝ても疲れがとれない」といった、たくさんの悩みがありました。
はたして、良い睡眠をとるために、どんなことを心がければいいのでしょうか?「良い睡眠」とは、どんなものでしょうか? 睡眠栄養指導士で、こども睡眠ジュニアマスター講師の樋山奈々恵さんに話をうかがいました。(取材・文 鈴木智之)
■良い睡眠のカギは「朝ごはん」
良い睡眠と栄養の観点から、よく眠るためにポイントになるのが「朝ごはん」です。1日の活動エネルギーを作るために、朝ごはんで栄養を摂取することの大切さは、多くの方が理解していると思います。
それに加えて、樋山さんは「朝ごはんを食べることで、体内時計のリズムが安定し、睡眠ホルモンが作られやすくなるんです」と言います。
「お子さんは体内時計がまだ未熟なので、朝昼晩としっかり食事をとることで、体内時計のリズムが安定していきます。サッカーをしているお子さんは、3回の食事では補えないエネルギーや栄養素もあると思うので、補食を活用してエネルギーを確保しましょう」
樋山さんによると「体内で睡眠ホルモンを作るには16時間かかる」そうで、夜寝るときに睡眠ホルモンが必要と考えると、朝食がいかに大切かがわかります。
■寝つきをサポートするビタミンB群
「睡眠ホルモンはタンパク質から作られます。タンパク質を働かせるためには、ビタミンやミネラルなどが必要です。運動をするお子さんの場合、貧血を予防するための鉄、筋肉を使うためのマグネシウムなど、ミネラルをとることも大切です。良い睡眠をとり、お子さんが成長していく上で、栄養は欠かせないものなのです」
日々の生活に追われる中で、栄養バランスのとれた食事を用意するのは大変です。樋山さんは「ビタミンB群やミネラルなどをうまくとれないまま、疲労回復ができない状態を続けているのであれば、サプリメントで補うのもいいと思います」とアドバイスを送ります。
「睡眠に関して言うと、ビタミンB群が足りないと、悪夢を見がちになったりします(特にB6)。感情や精神安定、脳内の神経伝達物質の合成に関わっていて、寝つきの悪さにもつながるので、ビタミンB群は重要な栄養素です。群というだけあって、ビタミンBにはたくさんの種類があるのですが、1つの栄養素だけとればいいというわけではありません。サプリメントの場合、群でとることができるので、遠征や合宿などで栄養がうまくとれないときなどに活用していただくといいと思います」
■食事で浅い睡眠にならないための工夫
食事と睡眠の関係で言うと、質の高い睡眠をとるためには、夜ご飯に油ものなど、消化に時間がかかる、脂質の多いものは避けたほうがいいそうです。
「寝ている間は、運動で傷ついた筋肉を修復したりと、体のメンテナンスをする時間です。胃の中に食べ物が入ったままだと、消化にエネルギーが使われてしまうので、遅くとも寝る3時間前までには、食事を終えるのが望ましいです」
お腹がいっぱいのまま寝てしまう、あるいは油ものをたくさん食べた状態で眠りにつくと、睡眠時間をたくさん確保できたとしても、睡眠の質が浅くなってしまうこともあるそうです。
「お子さんはお肉や唐揚げなど、脂質が多いものが好きなので、それらを食べてはいけないということではありません。消化を助けるために、酢の物を一緒に食べる、レモン水を一緒に飲むなどして、胃酸が出やすくなるサポートをしてあげるといいと思います」
ほかにも「分食」という形で、練習前後におにぎりなどの補食をとることで、家に帰ってからの食事を最小限に済ます方法もあります。食事面は保護者ができるサポートなので、工夫できるところはありそうです。
「私の場合、娘の帰りが遅くなったときは、卵を入れたうどんなど、タンパク質がとれて、消化吸収の良いものを出していました。お肉は消化しやすいひき肉を使ったり、脂肪の少ない鶏肉を使うこともあります」
スポーツや習い事で帰りが遅くなる日は消化の良いものを食べ、週末など時間があるときは、好きなものを食べるというメリハリをつけた食生活もおすすめです。
■親子で睡眠の質ついても考える
さらに樋山さんは「お子さんの睡眠も大切ですが、保護者の方も、質の良い睡眠がとれているのかに目を向けることが大切です」と語りかけます。
「かつて私は、寝不足が原因で車の運転中、危ない目にあったことがありました。睡眠不足で車の運転をするのは、酩酊時に近い判断力になっています。お子さんを送迎している保護者の方は、とくに気をつけた方がいいと思います。保護者の方が睡眠時間を確保するために、食洗機を取り入れたり、全自動の洗濯機を使ったりと、時短家電を活用するのも、ひとつの方法です」
これを機会に、親子で睡眠のあり方について、話をしてみるのもいいかもしれません。適切な睡眠時間を確保することで、サッカーのパフォーマンスアップだけでなく、体の成長にも良い影響があります。
トレーニング、栄養、そして休息。このサイクルを意識しながら生活することが、より良いサッカー選手になることへつながり、将来の夢をかなえる第一歩になるかもしれません。
サッカーの練習には熱を注いでいると思うので、これからは栄養と睡眠に、いま以上に目を向けて、より良い選手を目指しましょう!
睡眠栄養指導士・こども睡眠ジュニアマスター講師
10代の自身の病をきっかけに「健康」について考え始める。
結婚、出産、育児、などライフステージの変化で心身のバランスを崩し、あたらめて「健康」の土台となる睡眠について学ぶ。睡眠を見直すことで、生活の質の向上や家族の健康増進、子どもの未来を育むことができることを知ってもらうために、対面やオンラインで活動中。
現在は保育施設にて施設職員、保護者向けに睡眠と栄養の講座を開催。