U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013特集
2013年8月30日
【大会結果レポート最終日】U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013
8月27日(火)から~8月30日(金)の日程で、ヴェルディグラウンド、味の素スタジアム西競技場で開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013。全6試合30得点1失点(親善試合を除く)という驚異の強さでFCバルセロナが優勝トロフィーを獲得しました。その本大会最終日の結果と試合レポートをお送りします。
■大会4日目(準決勝、3位決定戦、決勝戦)試合結果
<<準決勝>>
柏レイソルU-12 0-4(0-2、0-2) リバプールFC(イングランド)
東京ヴェルディジュニア 0-5(0-0、0-5) FCバルセロナ(スペイン)
▲今大会、初の欧州組へのチャレンジだったレイソル。序盤はサイドのスピードを生かした突破などでチャンスを作ったが、リバプールが勝負どころを逃さず前後半で2点ずつ決め、準決勝進出を果たした。
<<3位決定戦>>
柏レイソルU-12 2-1(0-0、2-1) 東京ヴェルディジュニア
▲前半は0-0で折り返す均衡した展開、後半1点リードされたレイソルは、連戦や暑さによる疲れも見える中、粘り強い攻撃から立て続けに2得点を奪い、大会3位の座を獲得した。
<<決勝戦>>
リバプールFC(イングランド) 0-5(0-1、0-4) FCバルセロナ(スペイン)
▲点差は開くも、両チームの選手ともに、勝利への執念を剥き出しにした激しい試合を展開。
<<最終順位>>
優勝:FCバルセロナ(スペイン)
2位:リバプールFC(イングランド)
3位:柏レイソルU-12
4位:東京ヴェルディジュニア
5位:東京都U-12
6位:大宮アルディージャ ジュニア
7位:セレッソ大阪U-12
8位:チョンブリFC(タイ)
9位:川崎フロンターレ U-12
10位:ベガルタ仙台ジュニア
11位:横浜F・マリノスプライマリー追浜
12位:鹿島アントラーズジュニア
■FCバルセロナが大会を締めくくる大勝
DFが密集する左サイドの狭いところを小柄な影がスルスルと抜けていきます。小気味いいドリブルから中央へ送られたボールは、必死に足を伸ばすDFに当たってそのままゴールへ。
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013の決勝戦は、準決勝で柏レイソルU12を4-0で下したリバプールと、リベンジに燃える東京ヴェルディジュニアを盤石の強さで下したバルセロナの欧州勢同士の対決となりました。
試合が動いたのは開始15分、冒頭のシーン。見事なアシストを決めたのは、バルセロナの背番号11.久保建英君でした。
「チャンスが少ない中、チームを勢いづける重要なゴールだった。」
試合後、バルセロナのマルセル・サンス・ナバーロ監督は試合の均衡を破るきっかけになった先制点をこう振り返りました。サンス監督は続けます。
「特にあのゴールは、狭いエリアで素早いプレーができるという建英の良さがあらわれていました。」
決勝戦はやはりこれまでの試合とは趣が異なりました。バルセロナ、リバプールの指導者が揃って日本チームの“足りないところ”に挙げていた、球際の激しさが倍加。両チームともこれまでの3日間とは一段ギアの違う「戦う姿勢」をむき出しにしたプレーを見せます。
後半に入ると、28分にCKのチャンスから大会MVPに輝いたバルサのキャプテン、3.エリック・ガルシア・マルトレット君のクロスに今大会得点王に輝いた10.アンスマネー・ファティ君が合わせて2点目。
42分には抜群のテクニックとボールコントロールで大会を沸かせた20.アドリア・ベルナベ・ガルシア君がDFが密集するペナルティエリア内にドリブルで切り込み、突破寸前で倒されPK獲得。これを自分で決めて3点目。さらに48分、終了間際にも加点したバルセロナが5-0とリバプールを圧倒して、今大会の初代王者に輝きました。
■テクニックの先にあるもの
「やられたなあ。また」
本日の準決勝でバルセロナとの再戦を終えた後、感想を求められたヴェルディの松尾洋監督がため息混じりに会見に応じます。今大会を象徴する試合として多くの人が話題にするバルセロナの初戦。対戦相手となった東京ヴェルディジュニアは、グループリーグを2位で勝ち抜け、準決勝でリベンジマッチに挑みました。
「1戦目は引いてしまっていいサッカーを相手にさせすぎた。今日は前から チャレンジできましたが、後半はスタミナ、集中力が切れてしまいました。」
監督の言葉通り、前半は0-0で推移した準決勝も、後半に入るとバルセロナが爆発。終わってみれば0-5でヴェルディのリベンジはなりませんでした。
「完敗でした。それは認めた上で、パーツ、パーツの技術、あるエリアの中でのプレーは通用するものがあった」
松尾監督は会見で「バルセロナに通用した部分」を問われて、こう答えています。
バルセロナのサンス監督も日本の選手の「個人的なテクニック」には大会を通じて繰り返し賛辞を送っています。その上で、グループでの動き、守備のアプローチにまだまだ改善の余地があるとこちらも繰り返して指摘しています。
どのようにして選手たちが“バルセロナの動き”を身につけているのか? そう問われてサンス監督は「毎週末リーグ戦があって、試合に向けた準備が出来る環境があること」ともうひとつ、とてもシンプルだけど重要な示唆を与えてくれました。
「(動きの中で)ボールを使った練習をすることです。ボールを受ける練習、出す練習。ボールを受けるときにはしっかり動き直す。出すときには味方が輝けるように、周りを活かす動きを常に意識する」
■新たなチャレンジのスタート
あっという間の4日間。終わってみれば、バルセロナの選手の“サッカーのうまさ”が際立った大会でした。
「日本人はテクニックに優れている」「個人技術はある」繰り返し語られる言葉とは裏腹に、日本の“個人技に優れた”選手たちがバルセロナの選手に翻弄される光景が何度も繰り返されました。バルセロナを体感した指導者や選手たちは言葉こそ違いますが一様に「プレーの選択、判断、技術の適切な使い所」を次の課題に挙げています。
バルセロナやリバプールのサッカーに接した選手たちは、この貴重な経験をすでにプレーとして表現し始めています。
「彼らが大人になったとき、世界と戦っていかなければいけない。そのためにこれからどうするか」
言ってみれば世界最高峰との貴重な“ファーストコンタクト”を果たしたヴェルディジュニアの松尾監督は二度目の対戦を終えて、世界との差、その差を埋める試みについて言及しました。
今回出場した日本のチームも、それぞれの地域、または国内ではボールを支配し、主導権を握った試合ができる強豪ばかりです。「日本ではこういうプレッシャーは感じられない」「こんなにやられたのは初めて」今大会で幾度となく聞かれた言葉です。
点差だけを見れば惨敗と言っていいい試合。しかし、日本のチームは“ワールドチャレンジ”の名に恥じることなく、数日間で大きな成長を遂げつつ、チャレンジを続けました。
真夏が戻ってきたような強い日差しのなか、新しい“物差し”は出来ました。バルセロナもリバプールも、この年代で世界トップクラスの実力を持つチームであることは疑いようがありません。世界との差を知り、ここからどう成長するのか。今日から長くて大きなチャレンジの日々が始まります。
■FCバルセロナの元コーチが教える「サッカー選手が13歳までに覚えておくこと」
FCバルセロナの選手や世界のトッププロをサポートしてきたスペインの世界的プロ育成集団「サッカーサービス社」が監修した選手が見て学べるU-13世代の選手向け教材。彼らが分析した「Jリーグ」の試合映像をもとに、攻守の個人戦術からグループ戦術まで、選手のサッカーインテリジェンスを磨く32のプレーコンセプトを解説。将来、プロや海外で活躍することを目指す選手必見の教材。
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■大会公式ホームページ
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