U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2014特集
2014年8月25日
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013まとめ
いよいよ8月28日に開幕するワールドチャレンジ2014に向けて、来日した久保建英君のテクニックや彼が所属するFCバルセロナの強さが際立った前回大会を振り返りましょう。
まずは大会レポートを読んで、前大会の記憶を思い起こしましょう。
開始1分のことでした。会場となったヴェルディグラウンドに集まった観客の視線を一身に浴びた久保建英君の左足が振り抜かれると、ボールはそのままゴールへ吸い込まれます。8月27日に開幕したU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013は、10歳で海を渡り、バルセロナの下部組織でプレーする日本人選手のこのゴールで幕を開けました。
開幕戦でバルセロナU-12を迎え撃ったのは東京ヴェルディジュニア。伝統的にテクニックに秀でた選手が集まるこのチームですが、バルセロナはヴェルディを上回るボールコントロールとターンテクニックでボールを保持し、試合を支配します。
「日本では感じることができない感覚でした。ああいう風にやられることはまずない。バルセロナの選手はサッカーを良く知っている」
ヴェルディを率いる松尾洋監督がこう振り返ったように、ヴェルディジュニアはほとんど自分のサッカーをさせてもらえませんでした。バルセロナの下部組織が日本にやってくるということで大きな注目を集めていたこの試合。スコア以上に見ていた誰もが少なからず“衝撃”を受けたのではないでしょうか。
終始試合を支配したバルセロナは23分、33分、41分にも追加点を奪い4-0で初戦を飾ります。ほぼ全員が初めて体験するスペインからの長時間移動、これまでは7人制でプレーしていたという不安要素も全く感じさせない完勝でした。
「日本の子どもたち、チームについては、次の3つのことを印象として感じました」
バルセロナのサンス監督は2日目終了後、報道陣に日本チームの印象をこう答えています。
「ひとつはフェアプレーの素晴らしさ。もうひとつはプレーがうまく行ってもそうでなくても、チームの状態が良くても悪くても、最後まで諦めずに頑張ること、3つ目は技術に優れていること。ただし……」
ポジティブな3つの要素をあげたあとサンス監督はこう続けました。
「攻撃の際の技術に比べて、守備の技術、DFへの球際がヨーロッパのクラブに比べて緩い点が気になりました。距離を詰めるのに時間がかかるため、こちらが攻撃の準備する余裕がありました。」
東京都U-12の井上雅志監督は「守りを固める選択肢もありましたが、うちの良さを出していこうということで、攻撃的に前を出る選択をしました。選手たちはよくがんばっていたと思います」と、ラインを上げてのハイプレス、奪ってからの速攻という作戦がある程度機能したと評価しました。
気温30℃を超える連日の暑さ、さすがのバルセロナにも疲れが見え始めているのかもしれませんが、大会初日、二日目と“衝撃”を与えてきたバルセロナを体感した選手や指導者たちが、その“衝撃”を基準にバルセロナとの戦いに対するアプローチを練り直しているのは事実です。
松尾監督は会見で「バルセロナに通用した部分」を問われて、こう答えています。
バルセロナのサンス監督も日本の選手の「個人的なテクニック」には大会を通じて繰り返し賛辞を送っています。その上で、グループでの動き、守備のアプローチにまだまだ改善の余地があるとこちらも繰り返して指摘しています。
どのようにして選手たちが“バルセロナの動き”を身につけているのか? そう問われてサンス監督は「毎週末リーグ戦があって、試合に向けた準備が出来る環境があること」ともうひとつ、とてもシンプルだけど重要な示唆を与えてくれました。
「(動きの中で)ボールを使った練習をすることです。ボールを受ける練習、出す練習。ボールを受けるときにはしっかり動き直す。出すときには味方が輝けるように、周りを活かす動きを常に意識する」
バルセロナから日本までの移動時間は15時間以上。大会前々日の25日に来日し、翌日は記者会見に参加。慣れない日本の暑さと時差ボケというハードな条件にも関わらず、圧倒的な強さでFCバルセロナが優勝を果たしました。
今大会の特別協賛である大和ライフネクスト株式会社代表取締役社長の渡邉好則氏より優勝トロフィーが手渡され、喜びを爆発させる選手たち。