U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2015
2015年10月14日
「首を振ろう」では足りない!「いつ」「なにを」見るのかが大切
スペイン・バルセロナを本拠地とし、世界各地のジュニア選手からプロ選手を対象に、キャンプやクリニックを実施するサッカーサービス社が、9月26日(土)に都内で「日本のU-12× 世界のU-12 ~個人・チーム戦術から見た選手やチームの特徴とその違い~」をメインテーマに特別講習会を開催しました。
RCDエスパニョールの優勝で終わった「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2015」の主要ゲームをサッカーサービス社のポール・デウロンデル氏が分析ツール「LongoMatch」を使用して分析、解説するというこの講習会では、個人戦術の「認知」とチーム戦術の「ボールの動かし方」の2つがテーマとなりました。前編となる今回は、「選手たちはピッチの上で実際に何を観ているのか」という認知のテーマを取り上げます。(取材・文 小澤一郎)
■「認知」するための3つのコンセプト
冒頭でポール氏は「この講習会を通して伝えたいことは、目的を持って試合を観ることで分析や課題が明確になり、コーチであれば試合の分析結果を元にいいトレーニングを構築できる可能性が高くなることです」と説明しました。すべてのプレーのベースとなる「認知」において指導現場でよく耳にするのは「首を振ろう」という言葉ですが、ポール氏は「コーチはいつ、何を、どのように観るかということを具体的に指導することが大切です」と言います。
そのためにポール氏は認知における3つのコンセプトを紹介しました。
1.斜めのポジショニング
2.開いた体の向き
3.首を振る(オープンサイド/ブラインドサイド)
この3つは段階的なコンセプトとなっていて、まずはボール保持者に対して角度を付けた斜めのポジションを取ること(1)で周りが見やすくなり、続いて開いた体の向きを作ること(2)で目の前のスペースが広がります。その上で首を振って目の前のオープンサイドと背後のブラインドサイドの両方を観ます。(3)
ポール氏が紹介した分析映像の中で、ある日本のチームのボランチの選手がDFラインからのビルドアップのパスを受けるために斜めではなく真っ直ぐなポジショニングでボールを受け、結果的にミスなくプレーを成功させました。しかし、ポール氏は「できれば10歳から14歳までの年代ではこうした個人戦術のベースをしっかりと身に付けてほしい」と指摘しました。
■日本チームのレベルアップと今後の課題
大会3連覇のかかったFCバルセロナが準決勝で東京都U-12に敗れる波乱や1-3でバルサとの開幕戦に敗れたとはいえ川崎フロンターレU-12が時間帯によってはバルサを凌駕するパスワークで相手陣内に押し込むサッカーを披露したようにポール氏も「日本のチームは大会毎に競争力を上げています。認知というテーマで分析をすれば、日本の選手がここ数年いい指導を受けているのがわかります」と日本の育成年代や指導のレベルアップを認めています。
しかし、FCバルセロナや優勝したエスパニョールの選手たちと比較した時には戦術コンセプトの徹底やディテールの面で差があったのも事実です。ポール氏は「川崎フロンターレU-12や浦和レッドダイヤモンズジュニアなどは特にポゼッションの安定性がありいいサッカーをしていました」としながらも「チームとしてのバランスやオーガナイズの点で日本のチームは選手がボールに寄り過ぎるなどの課題も見えました。バランスやオーガナイズの良いチームでプレーしていれば選手も状況を理解しやすいので、そういう面でバルサは特筆すべきチームでした」とコメントします。
実際、ポール氏は今大会の注目選手であったバルセロナのMFチャビ・シモンズらバルサの中盤3選手が試合においてどのような認知を行なっているかを分析しました。紹介された映像において、ポール氏はバルサの中盤がいつ、どのタイミングで何を見ているかについてわかりやすく説明を行いました。そして、彼らが正しい認知、状況判断を行う前提としての斜めのポジショニングや開いた体の向きを作っていることも強調しました。
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