U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2018

2018年12月13日

U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ決勝から分析する「組織力」のバルセロナと「個で打開する」アーセナル

■"組織"での守りは確実性が高く、"個に頼る"守りはリスクが高い

攻撃と守備は表裏一体です。「どのように攻撃をするか」は、裏を返せば「どのように守備をするか」ということでもあります。フォントコーチは「バルセロナはチーム、集団としてボールを奪いに行き、アーセナルは個人の力で奪いに行く」と違いを説明します。

「バルセロナは個人でボールを奪い返せなければ、組織でボールを奪い返しに行きます。チームとして守備をするという部分では、カバーリングやマークの受け渡しをしっかり行うことで、連携してチームとして守備をしています。対するアーセナルは選手個人のゾーンにボールが入ってきたときは、早く強いプレスを仕掛けることができていましたが、カバーリングや連携には向上の余地がありました。相手をどちらの方向に追い込めばいいかという、判断の面で苦労しているところがあったように見受けられます」

ジュニアサッカーワールドチャレンジは、U-12カテゴリーゆえ、チームによって身につけている要素は様々です。バルセロナは選手個々の判断のもとに組織的に動き、アーセナルは個人の能力をベースにしたプレーを多く用いています。バルセロナはとくに「認知」「判断」を重視するスタイルのため、選手たちは「サッカーインテリジェンス」の高いプレーをします。

アーセナルは選手個人で守っているので、個々が自分の意志のみでプレスに行くことが多く、集団として守ることができていませんでした。そのため、個人がプレスに行ってかわされると、決定的な場面を作られてしまうことがありました。たとえば、アーセナルの右サイドバックの選手の身体の向きが内側(ピッチ中央部)を向きすぎて、背後の相手がどう動くかが見えていない。その状態でアーセナルのセンターバックが、ボール保持者にプレスに行かなかったため、スルーパスを通された場面がありました」

さらに、こう続けます。

「アーセナルは個人で守っているので、ボールに追いつけないと、簡単にスルーパスを通されてしまいます。私はこの年代では、いつ、どのよう形であればプレスに行くのか、どの方向に相手を追い込むかといったことを、理解させることが重要だと思っています」

ジュニア年代では、個の能力、成長の差などで局面を打開できたとしても、年齢が上がるに連れて能力差が接近すると、いつ、どこへ、どのように動くかといった、インテリジェンスの差が、選手の差となって現れてきます。そこに目を向けることは、長い目で見た選手の成長という観点からは、とても大切なことだと言えるでしょう。

後編ではバルセロナ、アーセナルの「攻守の切り替え」について、フォントコーチの分析をお届けします。


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