代表選手を分析! タイプ別で育てる兄弟構成別成長法
2014年2月 4日
一人っ子、長男は不利?サッカー日本代表の兄弟構成に見る成長方法
■歴代最多キャップ数の“ヤット”は遠藤三兄弟の末っ子
スポーツの世界では、一人っ子や長男、長女よりも次男、次女または末っ子の方が大成するというジンクスめいたものがあります。野球界でも世界のホームラン王、王貞治さんから始まってイチロー選手、松井秀喜選手はいずれも兄を持つ次男、サッカー界の生ける伝説、キングカズこと三浦知良選手も三浦泰年:現東京ヴェルディ監督の弟ですよね。
これは皆さんのご家庭でも見られる傾向なのかもしれませんが、長男や長女がはじめたことを次男、次女が年齢的には早くはじめるチャンスに恵まれる。成長の早い兄、姉を目標にして高いレベルで努力をすることで、最終的には第一子よりも好結果を残すという例が多そうです。
現在の代表選手を見ると、代表キャップ数歴代最多の遠藤保仁選手が“遠藤三兄弟”の末っ子であることは有名でしょう。長男・拓哉さんは前園真聖さんの同期。鹿児島実業高校で選手権準優勝というキャリアを持ちます。次男の彰弘さんは、高校時代に城彰二さんとともに活躍、その後、横浜・F・マリノスに入団し、アトランタ五輪に出場、フル代表選出経験もある選手でした。
末っ子だった保仁少年、通称ヤットは二人の兄の大きな背中を追いかけて夢中でボールを蹴ったと言います。もちろん努力は人一倍したのでしょうが、周囲のヤット評は末っ子らしく「能力はあるのにマイペースすぎる」というものだったそうです。いまにして思えば、そのマイペースさが、ドイツW杯では試合出場ゼロ、代表では不遇の日々が続くなど様々な苦労をしながらも、歴史に残る選手になった秘訣なのかもしれません。
■本田、長友を支えた兄、姉の存在
イタリア・セリエAの名門で活躍する二人の選手は兄弟、姉妹に支えられた経験を持ちます。ACミランに移籍を果たした本田圭佑選手がガンバ大阪ジュニアユースからユースに進めなかったことは有名ですが、その際に星陵高校への進学を進めてくれたのが、帝京高校で高校サッカーのプレー経験があった兄の弘幸さんだったのです。本田選手はその後、星陵高校を経てJリーグそして世界へと巣立っていきました。結果的には兄の助言、高校での経験がいまの本田選手を創ったわけです。
インテルの長友佑都選手は1歳年上の姉と弟がいる中間子です。長友選手は大学時代に腰を痛め、サッカーへの情熱を失いかけることもあったそうです。そんなとき同居していたお姉さんが、言葉と態度で諦めないように諭してくれたと言います。「姉がいなかったからサッカーをやめていた」これは長友選手がいまでも良く口にすることです。そんなお姉さんとはイタリアでも同居中。現在でも栄養面や精神面のサポートをしてくれる大切な存在です。
日本代表選手に一人っ子がいない、第一子の長男が少ない、これは紛れもない事実です。しかし、少し上昇したとはいえ、先進国の中でも低いと言われる出生率、加速する晩婚化、経済的状況などで、一人っ子はどんどん増えているという事実も見逃すことはできません。5年後、10年後は代表選手にも一人っ子の割合が増えているかもしれませんし、水泳界のスーパースター、金メダリストの北島康介選手のように一人っ子でも結果を残したアスリートはいます。
大切なことは、子ども一人ひとりの特性や個性を掴んで、それぞれに合った成長の方法を模索することではないでしょうか。兄弟構成による性格分析も子どもたちを見るひとつの要素。次回からはもう少し詳しく、第一子、中間子、末子、一人っ子の特徴や成長方法を見ていきましょう。
大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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