家庭で実践できる「ライフスキル」
2019年12月 2日
家庭でできるライフスキルの高め方⑤ 一日10回のありがとうで身につく「感謝する力」
これからを「生き抜く」力となるライフスキル。サカイクでは、サッカーを通じて「生き抜く」力を育むことを目的に、2017年の春キャンプより、ライフスキル研究の第一人者である慶應義塾大学・東海林祐子先生の監修のもとライフスキルプログラムに基づいたトレーニングをキャンプで行っています。
ライフスキルに共感してキャンプに参加してくれる親御さんから「家庭でもライフスキルを伸ばす方法が知りたい」とのお声をいただくことも多いので、サカイクキャンプのヘッドコーチ・高峯弘樹さんに、家で実践できる5つのライフスキル(考える力、チャレンジ、コミュニケーション、リーダーシップ、感謝の心)を伸ばす方法を教えていただきました。
第5回目は、感謝する力についての提言です。子どもたち本人はもちろんですが、親がすべきこと、できることを教えていただきました。
(取材・文:前田陽子)
<<第四回:生きる上での自信にもなる「リーダーシップ力」の育て方
■感謝の気持ちは言葉にして伝える
感謝の気持ちを伝えることの大切さは、大人が子どもにきちんと伝えなければならないものだと高峯コーチは言います。
親御さんたちは自然と気付いてほしい、と思うかもしれませんが、小学生年代ではなかなか難しいのだそうです。
「事あるごとに感謝することの意味を伝えること。今、ごはんが食べられているのは親が一生懸命仕事をしてくれているから、料理に使っている野菜やお米は農家の方が丹精込めて育ててくれているから、そういう背景もしっかりと説明して、何に感謝をしなければいけないのか、どうしてしなければいけないかを、子どもたちに伝えることは親のすべきことのひとつだと考えます」とコーチ。
そのためには、家庭でお母さんがお父さんに、お父さんはお母さんに感謝の気持ち「ありがとう」を伝えることがとても大事なのです。その姿を見れば子どもたちも自然と「ありがとう」が言えるようになるはず。もちろん、子どもが家のことをしてくれたら親から子へ感謝の気持ちを伝えます。
中には「お父さんは仕事で忙しく、家のことを顧みてくれない」「ワンオペでお父さんに感謝できない!」とういお母さんもいるかもしれません。ですが、それでは感謝する力のある子にはなかなかなれません。夫婦のことは2人できちんと話し合って、お互いが尊重できる関係を築いてほしいと思います。
■1日10回「ありがとう」を
食事を作ってくれた、電気を消してくれた、起こす前に起きてくれた。そんな些細なことでも「ありがとう」と言い合うことで、満足感や幸福感が得られます。何回言えば良いという決まりは有りませんが、例えば一日の中で10回ぐらい「ありがとう」を言ってみるなど、感謝しあうことを習慣づけてみてはいかがでしょうか。
家族が「ありがとう」を言うことが自然になると近所の人や、外でも言えるようになります。言わされるのではなく、自然に言葉が出てくるようになることが理想です。
「ありがとう」以外にも「いただきます」「ごちそうさま」も必ず言いましょう。声に出すことで、物事の背景に思いを巡らせることができるようになったり、物を大切にする心も育まれると考えるとサカイクキャンプのコーチたちは考えているそうです。
サカイクキャンプの時にも、特別な理由がなくても用意してくれた料理を平気で残したり、スパイクのかかとを踏んでいたり、キャンプ終了後にはスパイクや魔法瓶の水筒など高価な忘れ物をしても問い合わせすらないなど、時に悲しくなる場面を目にすると教えてくれました。
「何でもすぐに手に入る世の中ですが、物を大切にするのは人の基本です。そういったベースができていないと、サッカーも勉強も伸びないように思います」と高峯コーチ。
サッカーはミスのスポーツです。お互いがカバーしあう場面が試合の中で何度も出てきます。自分が助けられたら「サンキュー!」「ありがとう」を言える子の方が、感謝を示さない選手よりも味方がカバーしてくれたり、上手くいかなくても「しょうがない、次頑張ろう」とフォローしてもらえたりすることが増えるもので、そういった相互の関係性とプレーの連携が高まることでチームとしても向上します。
何より「ありがとう」は幸福感を高めるので、「よし、頑張ろう」という気にさせてくれるのです。
子育てをしていると、つい自分の子と他の子を比較してしまいます。ですが、本当に比較をしなければいけないのは、子ども自身の成長。昨日より今日、今日より明日少しでも成長するために何ができるのか。
親ができることは見守ることだとサカイクでは考えています。日々少しづつでも成長していく子どもをおおらかに、見守っていきましょう。
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