元日本代表コーチが教える! サッカーと勉強の相乗効果を引き出す方法
2014年2月28日
勉強もサッカーもうまくなる!元日本代表コーチが教える脳の鍛え方
子どもたちに勉強してほしい。親になると「好きなこと、望むことをやらせてあげたい」という思いの一方で、自らの社会人経験を踏まえて「勉強もしてほしい」と言いたくなりますよね。
「勉強も大切」「勉強をしなさい」と口に出すことはできても、サッカーしか目に入らない子どもたちを机に向かわせるのは至難の業です。でも、サッカーと勉強は実は大いに関係があって、勉強をすることだって、サッカーに大いに役立つとしたらどうでしょう?
お父さんやお母さんも勉強とサッカーがどう関係あるのか、どう役立てたらいいのかを伝えることができれば、子どもたちへの説得力もいくらか増すのではないでしょうか?
小倉さんは「プロのサッカープレイヤー、一流のアスリートに頭の悪い人は一人もいない」と言います。
■サッカー選手は頭が良い サッカーは右脳と左脳をフルに使う総合芸術
優れたサッカー選手の条件を挙げろと言われたら、私は、いろいろな意味を含めて「頭が良い」ことを一番に挙げます。サッカーは頭を使うスポーツです。一流のプレーを目にしても、頭を働かせていなければその面白さを理解することはできませんし、そのプレーを参考に上達することはできません。
めまぐるしく攻守が入れ替わるピッチの中で、一瞬の判断でプレーを選択するサッカー選手たち。パスをするかドリブルで突破するか?
緊迫した場面では、一瞬の判断がその後の試合の流れを決めることもあります。
戦術が高度に進化した現代のサッカーでは、サッカーの技術や身体能力だけではなく、思考力が求められます。メッシ(アルゼンチン)も、クリスチアーノ・ロナウド(ポルトガル)も、たぐいまれな才能に恵まれてはいますが、ピッチ上では絶えず頭を働かせて瞬時の判断を下しています。
サッカーはまさに思考のスポーツです。
ただボールを蹴っていても決してサッカーはうまくなりません。
技術や身体を鍛える練習はもちろん大切ですが、これからプロのサッカー選手を目指す子どもたちに意識して鍛えてほしいのが思考力、つまり「脳」です。
人間の脳は大きく分けると「右脳」と「左脳」から成り立っています。
「左脳」は言語を理解したり、計算をしたり、論理的に考える働きをしています。対して「右脳」は、ひらめきや芸術的な発想、創造力を司っています。
サッカーは右脳と左脳、そして鍛えられた肉体と技術を使う総合芸術です。
つまり、世界で活躍するサッカー選手は、研究者や政治家や優秀なビジネスマンのように優れた判断力を持つ左脳と、芸術家のように優れた創造力を持つ右脳を兼ね備えた「すばらしい脳」を持つ人です。
超一流と呼ばれる選手たちは、フィジカルやテクニックや精神力に優れているだけではなく、優秀な「頭脳」を持っているのです。
■目指せ! 素敵で知的な“サッカーバカ”
W杯や五輪を観ていると、世界で活躍するサッカーチームの監督やコーチはとても「知的」だと感じたことはありませんか? 監督の多くが試合のときにスーツを着ていることもあるかもしれませんが、サッカーという競技の監督やコーチは、やはりパッと見て知的に見えるくらい努力し、四六時中サッカーの勉強をしている“サッカーバカ”なのです。
サッカーバカというと「サッカーばかりしていて勉強をしない人」と誤解されるかもしれませんが、私の言う「知的サッカーバカ」は、「サッカーの探究者」とでも言えばいいでしょうか。
私が接してきたイビチャ・オシム監督、岡田武史監督、関塚隆監督ら多くの監督さんはただサッカーを教えるだけでなく、国際社会で恥ずかしくない「人間」を育てることを重視して、自らも学び続ける指導者でした。私もサッカーの技術や戦略などの知識だけではなく、人間としての生き方や哲学など、人として成長するための数多くのことを学ばせていただきました。
名監督や優れた指導者が知的に見えるのは、内面的な知性があらわれているからなのです。
サッカーが大好きで、サッカーに打ち込んでいるこどもたちは、こうした素敵で知的な“サッカーバカ”を目指してほしいと思うのです。
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