「超弱いチームでも強くなるよ」と語る監督が実践した、選手がよく伸びる指導法

2018年4月24日

選手を「よく見て」「わかりやすいように」伝える<後編>

■真ん中のプレーだけ修正しようとすると真ん中も外もできなくなる

だから選手が伸び悩んだときは、どうすればそれが直るかということばかり考えるよりは、それはそれで一応置いておく。真ん中のプレーが上手く行かないときに、真ん中ばかり修正しようとしたら、真ん中も外も出来なくなってしまう。真ん中をいくらやってもダメなときは、目を真ん中から離し、後ろか最前線か両サイドかにアイデアを求めれば、自然に真ん中にもボールが回って、状況が改善されたりするんです。

僕はベンチから叫んで彼らを動かせばいいんですが、選手たちはピッチで、汗をかきながら体を張ってプレーしてくれる。続けざまに試合をこなさなくてはならない大会では、腰が痛かったり足が痛かったり、疲れていて夜もあまり眠れなかったりする。

そんな状態で試合をしているうえに、ミスしたりすると僕が激昂するんですよね。練習のときも「こんなに何回も言ってるのに何故わからないんだ!」って怒ったりする。それに耐えて耐えて、彼らは僕についてきてくれる。

選手たちには、子供じゃなく、人間として感謝しています。ベンチにいるメンバーも含めて。

僕には子供がいないんですが、もしいたら、ウチのサッカー部の選手たちみたいだったらいいなと思っているくらいです(笑)。

朴 英雄(パク・ヨンウン)
1960年6月12日韓国大邱(テグ)出身。韓国高校サッカー常備軍メンバー選出、嶺南大学体育教育学部卒。
1992年、大分市サッカー協会に招聘されて大分市トレセンチームを率い、第11回京都招待中学サッカー大会で優勝。翌年から大分高等学校サッカー部の指導に携わる。

1996年、第3回FBS杯高校サッカーチャンピオン大会で市立船橋高校を下し優勝。
全国高校サッカー選手権全国大会8回出場、うち2001年度大会ベスト8、2011年度大会3位。インターハイ全国大会出場8回。

韓国陸軍将校の経歴や独自のサッカー観と指導理念から「異色の監督」と呼ばれ、選手のポテンシャルを最大限に引き出すことに定評がある。
2016年11月、大分高校サッカー部監督を退任。

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「監督の異常な愛情――または私は如何にして心配するのを止めてこの稼業を・愛する・ようになったか」


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