ボランティアコーチお助け隊

2016年8月22日

10歳になると実践的なサッカーを学ぶトレーニングができる

こんばんは。ボランティアコーチお助け隊の高峯弘樹です。今回は「Uー10以上の子どもたちはサッカーのプレーができるようになる」をテーマに、監督やコーチはどうトレーニングを考えたらいいのか、子どもにどうトレーニングをやらせた方がいいのかという視点でお話したいと思います。(構成 木之下潤)
 

■Uー8は人の話が聞けず、まだサッカーと向き合えない

 
そもそも「なぜ10歳になるころからサッカーがプレーできるようになるのか」といえば、そのあたりの年齢から精神的に落ち着きが出て、少しずつサッカーというスポーツに向き合えるようになるからです。その証拠に8?9歳ぐらいまでは練習前に説明をしても話が聞けなかったのが、座ってトレーニングの説明を聞けるようになっています。
 
 
だから、この年代からサッカーに近い状況でのトレーニングが十分に可能になります。そこで今回は“4対1のパスゲーム”をやりました。私が子どもたちに伝えた設定とルールは下記です。たった3つのことをだけですが、サッカーをプレーするようになります。
 
設定とルール
1.守備を1人置いて、4人のグループを設けた
2.ハーフコートで5本パスを回し、ドリブルで隣のコートを超えたら1点
3.守備がボールを奪ったら交代
 

■4対1のパスゲーム(ハーウェーライン・ドリブル越え)

 
サッカーの試合に近いプレーをしているのがおわかりでしょうか。まず敵と味方を作っただけで「どうやってプレーしよう?」と考えているのが映像から見られると思います。10歳以上になると、サッカーをプレーすることに必要な下記の3つのことをできるようになります。
 
サッカーをプレーするために必要なこと
1.顔を上げて状況を確認していること
2.敵と味方の位置を把握すること
3.どんなプレーをしたらいいかと考えていること
 
この4対1のパスゲームは、5人1組が複数います。ということは、フットサルコートの中でたくさんの選手たちがごちゃまぜでプレーしているから、より顔を上げて状況を確認すること、敵と味方の位置を把握すること、どんなプレーをしたらいいかと考えることを意識的にやらなければパスを回して1点を取ることができません。
 
さらにパスゲームを行う中で、それら3つのことをどのタイミングでやったらうまくいき、どのタイミングでやったらうまくいったというのを感覚的に体で知ることができます。
 
監督やコーチの対応は、失敗にしたとき「パスミスで失敗したのか」「パスする前にボールを取られたか」で修正部分は大きく変わります。また、出し手だけでなく、「受け手がどの場所にいなかったら出せなかったのか」「近くにはいたけど場所が悪かったから出せなかったのか」といった出し手と受け手の関係を観察しておくことが大事です。
 
実際に練習をスタートすると、今述べたようなことが少しずつやれるようになることが見て取れます。その理由の一つが「パスをつなぐ本数を制限しているから」です。本数制限があることで必然的に顔が上げて次のプレーに繋げなければならないし、そのときにDFが寄せてくると「やべ、どうしよう?」と実践と同じように判断しなければならない状況に陥ります。この4対1の状況はDFが一人なので負荷が軽く、比較的に顔を上げてから考えてプレーするという時間があります。
 
映像にはありませんが、次のステップの練習では「4対2」に設定を変更し、攻撃側の負荷を大きくしました。そうすると、練習の難易度はグッと上がります。しかし、ある程度続けていると、ボールテクニックがあまり上手ではない子もDFがボールを奪いに来た瞬間、引き技で交わしてパスをつないだり、コーチがその子に対して抱いている印象以上に驚くプレーを披露するようになります。ちゃんと敵を感じてプレーしている証拠です。
 
ボールテクニックがあまりうまくないけれど、相手が来たときに「こうしよう!」という感覚があれば、もっと年齢が上がって本気でサッカーに目覚めたときに、技術的にグンと伸びます。それは、すでに感覚でわかっていたものを、今度は自分の意思で理論的にやれるようになるからです。ハッとした「気づき」が、本当に意味でサッカーのプレーとして自分のものになった瞬間です。
 
次ページ:4対1のパスゲーム(ハーウェーライン・パス越え)

 
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