ボランティアコーチお助け隊
2016年8月22日
10歳になると実践的なサッカーを学ぶトレーニングができる
■4対1のパスゲーム(ハーウェーライン・パス越え)
練習を始めるとき、できるだけ説明の時間を短くして練習させることがポイントです。それは作戦を自分たちで考えさせるという意味もあるし、練習をやってみないことには課題にぶつからないから「自分が何をできないのか?」もわからないからです。それに、事前にコーチが「こうなるだろう」と予想していたものとの違いが出てくるから、指導する側も練習の中から「実際に、何が課題なのか?」を見つけなければなりません。
サッカーの状況に近づけるトレーニングを行うということは、当然うまくいかないことが増えてきます。すると、選手によっては練習でうまくいかなかったことを練習中にぶつけてくる子も出てきます。
そういう場合、プレーに関することは「コーチが一緒にプレーしているわけではないから自分たちで解決して」と突き放します。そうすると、自分たちで何かしら解決方法を考えます。これって、サッカーの試合と同じですよね。試合中にうまくいかないことを、いちいちコーチがベンチからフォローできるわけではありませんから。
もちろん、練習後に全員で話をしたときに必要に応じてその子だけに発信するだけでなく、みんなに対して質問を投げかけながら問題の解決策を探していきます。なぜなら、子どもたち一人一人が自己解決・自己発見することが「気づき」につながるからです。
そして、自分、もしくはチームで問題解決や課題修正を繰り返すことで、これまではうまくできなかったことが少しずつやれるようになっていきます。この練習は4対1のパスゲームだからポジショニングであったり、ボール保持者が顔を上げることであったりと、ちょっとずつやれることが増えていくんです。
よく練習中にプレーを止め、まめにフリーズして説明するコーチもいると思います。でも、まめにプレーを止めてしまったら「考えながらプレーする」というサッカーのプレーの本質からは程遠くなってしまいます。もちろん、フリーズして説明することも大事ですが、それは必要最低限に抑え、プレーを続けることで「やりながら解決する」「やりながら習得する」というやり方をとった方がいいように感じます。
映像2を見ていると、時間経過と共に、最初は二人でしかパス交換できなかったのが、三人の関係を作れていることに気づきます。子どもたちが自然に複数のパスコースを作る、出し手に対していいポジションをとってサポートするというサッカーに必要なことを、体で理解し始めているのが読み取れます。
また、パスをもらうとき、バックステップを踏んで攻撃方向に体の向きを作っている子も現れています。その時々の状況に応じ、子どもたちなりに「どうすればいいのか」を表現して成長している様子を見ていると本当に嬉しくなります。
複数人のパス回しで受け手に必要なこと
1.パスコースを一つではなく、最低限2つは作ること
2.ボールを受ける位置=ポジショニングを考えること
3.ボールを受ける前に状況確認し、次のプレーを考えておくこと
4.次のプレーを考えた体の向きを整えておくこと
私はサッカーに関するアドバイスは一言も発していません。その理由は、監督やコーチは子どもたちの自己解決能力を信じて見守ることが大切だと思うからです。確かに、答えや解決方法を言いたくなる気持ちはわかります。でも、コーチが口を出さなくとも、確実に子どもたちは上達していくものなんです。その証拠に、私が数えているパスの本数が最初に比べて増えているでしょう。
たとえば、「パスを5本つなぐ」という条件でハーウェーラインを超えることになると、自然にパスの出し手のサポートが増えるし、素早くサポートするポジションに動くようになります。
コーチの役目は、練習の中で自然にサッカーのプレーを学んでいく『手助けをする』こと。私の練習イメージは『放課後の原っぱで自由にサッカーをしている』ようなストリートサッカーです。そこには指導者はいないでしょうから、過剰に監督やコーチ、そして保護者が干渉しては子どもたちに本当の意味での学びがないのではないかと思っています。
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