ボランティアコーチお助け隊
2016年10月28日
初心者コーチの心得その2:子どもの性質や特徴を把握しよう
■オフ・ザ・ピッチと同様、オン・ザ・ピッチも本質を捉えられたらいい
練習をつづけていたら、いつの間にかサッカーのプレーを覚えていた。これが指導の理想であり、小学校3年生ぐらいまではミニゲームや鬼ごっこを取り入れたゲーム性の高い練習メニューを楽しくやりながら上達していくのがいい指導です。
しかし、小学校4年生ぐらいになると子どもたちも自我が目覚め、「どうして?」と思うようになります。すると、初心者コーチやボランティアコーチにとってはコーチのハードルが一気に高くなるように感じてしまいます。確かに、そんな一面もあります。ただ、自分に意思や意見が生まれることは自立心が芽生えた証なので非常に良いことです。高峯さんはこんなアドバイスをくれました。
「ぼくはUー10、Uー12になるとチーム分けやビブスの配布など自分たちでやれることはすべて子どもたちにやらせています。大人が手をかけている間は子どもにとって遊びにならないし、楽しくないし、自由を感じられないから退屈に感じるだけです。
コーチは先生ではないから教えるという立場を意識しすぎてはダメだと思います。子どもたちにとって、サッカーは遊びですから。結果的に『サッカーがプレーできるようになった』が大事です。もっといえば、優れた練習メニューを考えて、そのトレーニングで優れたアドバイスをしてうまく上達させられるのは経験を積んだコーチだからできることなのです。
そもそも初心者コーチ&ボランティアコーチはプロサッカー選手を育てることが仕事なわけではありません。まずはサッカーを好きで楽しいと思ってくれる子どもを育てるのが務めです。だから、サッカーにはオン・ザ・ピッチとオフ・ザ・ピッチがあり、それぞれの部分で良い悪いを選手たちに伝えられたらいい。基本的なことで十分です。そうやってサッカーを通じて人間的な成長を促すことに情熱を燃やせる人物であれば、サッカーの多くの知識を持たなくとも優秀なコーチだと思います。
ただし、サッカーをプレーするためにクラブやスクールに通っているわけだから、オン・ザ・ピッチのところでサッカーの本質を忘れてはいけない。どんな年代でも指導に対する考え方はシンプルです。
『蹴る・止める・運ぶの連続がサッカー』です。これを状況に応じて適切にプレーできればいい。細かいところを気にしすぎると、子どももコーチもお互いにとってストレスが多くなりすぎて負担にしかなりません。サッカーのプレーは練習の中で自発的に習得していくものだから、彼ら彼女らが自分なりにやれるツボに気づき、プレーができるようになるサポートが最低限やれたら指導は成立しています」
主役は子どもたちだ。高峯さんの言葉からは、そのメッセージが強くにじんでいます。教えるではなく、子どもたち自身が気づく機会、できるようになったプレーをたくさん使える機会が生まれるシンプルな練習メニューが考えられたらそれでいいといいます。「そのかわり…」と続けて、コーチに必要なものを教えてくれました。
「それぞれの年代によって習得する要素は同じです。しかし、それぞれの選手がどのシチュエーションでどう身につけるのかは個々によります。ようするに、気づくことも、覚えることも個人差があるから早い子もいれば遅い子もいます。だから、『我慢』『忍耐』が重要です。
習得の遅い子にはフリーズして修正を加えるとき、つい答えを言いたくなります。さらに習得の早い子にはついサッカー的なアドバイスをしたくなり、過剰な知識をつけさせたくなります。でも、子どもの立場からすれば、どこかのタイミングで押しつけになり、やらされている感じを抱いてしまいます。『常に子どもの性質や特徴を肝に銘じながらやっていれば、指導の本質から逸脱することはないのでは?』と思っています」
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