子どもが心からサッカーを楽しむための「サカイク10か条」
2017年8月 8日
「褒める」も「叱る」も大事! 子どもの状態に応じて使い分けることが自立のサポートになる
■優しさや厳しさは子どもの状況によって使い分けが必要!
お父さんお母さんは、子どもの状況(状態)によって厳しさや優しさなど様々な形の愛情を注ぐことが子育てに大切なことです。最近は「褒める」ことがクローズアップされていますが、それも使い分けではないでしょうか。筑波大学体育系准教授としてコーチング学とスポーツ心理学を専門にしている中山さんがこんなことを教えてくれました。
「子育てにおいて、答えは一つではありません。最近は『褒める』指導の重要性がうたわれていますが、それは相手の状況(状態)によるでしょう。たとえば、やる気が高い選手(チーム)に褒め言葉だけを使えばいいかといえば違います。また、日本代表の選手たちのようにレベルの高い選手たちがいつも褒められているかといえばそれも違います。
歴代の代表監督を見ていても、わざと選手たちを刺激するような言葉を投げかけて発奮させるやり方を用いていることがありました。トップレベルの選手たちは内発的動機付けが身についているので、ネガティブな言葉をかけられた方がやる気になる場合も多いように感じます」
ちなみに、内発的動機付けとは、賞罰などによってもたらされる外側からの動機付けではなく、自分の内側から沸き起こる動機付け、やる気(=主体性)のこと。好奇心や探究心、向上心などがこれに当てはまると言われています。ようするに、厳しさや優しさなどの愛情の注ぎ方は子どもの状況(状態)をしっかり見極め使い分けなければならないのです。
「私はたまにジュニア年代の指導者やお父さんお母さんに講演をさせていただく機会をいただきます。その時によく言うのは『何のためにそれをするのか』という目的の部分です。
たとえば、練習で取り組んでいる技術を習得するには、今がとても重要な時期なので少し厳しくしなければいけないとか、あるいは優しく寄り添えばいいのか、など指導者もお父さんお母さんも子どもへどんな態度で接すればいいのかを考えていないケースがたくさんあります。
今はITの発達によって世の中に情報がたくさんあふれています。インターネットで検索してすぐに情報が得られることは良いことですが、何か情報を得たらそれをそのままコピーしてやっていることが多々あります。サッカー指導の場合も『きっと、うまくなるだろう』とそのままコピーしてやっているように見受けられる場面がありますが、そんな簡単に技術は身につけられませんし、サッカーは上達しません」
そもそも子育てにマニュアルはありません。どうしたいという目的があるから課題や解決策が見えてくるのです。インターネットや本で紹介されている理論や方法を取り入れてみること自体は悪いことではありません。しかし、そこには自分の子どもに応じたお父さんお母さんなりの考えとアレンジがセットとして必要なはずです。
子どもの成長には褒めることも叱ることも大事です。どちらにも良い親子関係が大事で、そこには深い愛情があるからこそという絶対条件があります。
どんな時もわが子が心からサッカーを楽しむことを最優先に考えつつ、愛情を持って子どもと接する事を心がけましょう。
中山雅雄(なかやま・まさお)
筑波大学体育系准教授/JFA技術委員会指導者養成部会員/JFAキッズプロジェクトメンバー。
サッカーコーチング論やスポーツ心理学を中心に筑波大学で教鞭を執る傍ら、JFA技術委員会指導者養成部として、指導者養成のためのカリキュラム作りや、講習会でのインストラクターを務める。また、JFAキッズプロジェクトメンバーとして、キッズプログラムの検討、作成も担っている。
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガに登録しよう!