不安定で不確実な社会を生き抜くスキルの身につけ方
2019年3月12日
「やり抜く力」は後付けできる! サッカーでも勉強でも大事な"挑戦し続ける力"の身につけ方
2020年に大学受験改革を象徴とする大教育改革を控える日本では、この年を契機に〝賢さ〞の中身が大きく変わります。
これからの子どもたちには、親世代が経験しているような、記憶力や知識を基に「正解」早く見つけ出したり、テストの点数を競うだけではなく、いろいろな人を納得させられる答えを自分で導き出す思考力が問われます。
本連載では「自分で決められる賢い子供 究極の育て方」(KADOKAWA)から、10年後の社会を賢く生き抜くために、子どもたちが身につけておくべきスキル(ライフスキル)についてお伝えします。
教育の場でも重要なワードとなっている「非認知スキル」は、スキル=技術なので、親の学歴や経済力、生まれ持った資質や才能、特質ではなく、後天的に習得が可能なのです。
■「やり抜く力」は後天的に身につく
自分から朝練すると言いながら早起きが辛くて挫折、高い目標を立てて始めた自主練が3日坊主...。仲いいチームメイトに練習で負けてサッカーの課題チャレンジをあきらめた。
好きでやっていることなのに、どうして最後まで続かないの? 粘り強さが足りないなあ。
と、わが子の姿を見て嘆きたくなる親御さんもいますよね。
小さな努力がいずれ実を結ぶ。それを知っている親御さんとしては、わが子にサッカーでも勉強でも「やり抜く力」をつけてほしいと思っている方も多いのではないでしょうか。
挑戦し続ける情熱と粘り強さ、それをやり抜く体力などを指した「GRIT」(グリット)という考え方があります。日本でもベストセラーとなった『やり抜く力 GRIT(グリット)―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力を身につける」』では、失敗を恐れずに挑戦し続けることの大切さが語られています。
「やり抜く力」「粘り強い」と、言葉だけ聞くと根性論が幅を利かせていた前時代的なイメージを抱いてしまうかもしれませんが、そうではありません。
GRITは暴力や暴言による指導とは正反対の「子ども自身が納得して行動すること」でしか養われません。ですので、子どもが自分で決めた練習を途中でやめてしまったからと言って感情的に怒鳴ったり手を挙げたりしては、子どもの「やり抜く力」は育たないのです。
そしてなんといっても「やり抜く力」は、生まれ持った才能ではなく、失敗を繰り返しても恐れることなく挑戦し続けることで、後天的に身につけられる能力なのです。
サッカーでも、苦手だったキックやシュートを何度も繰り返して、失敗を重ねながら上達するものです。「外したら怖い......」と思うことより、まずは打ってみて外れたら次はどこにどうやって打つか自分で考えて、何度でも挑戦することが上達につながるのです。
親御さんは失敗を恐れずチャレンジしたことを認めてあげましょう。
■サッカーは子どもたちのチャレンジ精神を育むのにうってつけ
やり抜く力を身につけるために必要な「チャレンジ」ですが、社会全体が便利で過保護になっている現代では、普段の生活の中でチャレンジする課題を見つけること自体が難しくなっています。もちろん小さな課題を見つけてお子さんに与えていらっしゃる親御さんもいるかと思いますが、課外活動やスポーツなど、日常と離れたシチュエーションは子どもたちのチャレンジの機会を得ることができる場としてとても重要です。
サッカーに限らず、スポーツはできないことにチャレンジする機会が多く得られます。その中でもサッカーはチャレンジなしには成立しません。
相手選手と1対1になったときに自分でシュートを打つ、ドリブルで抜いてゴールに近づく、もしくはシュートチャンスを作るためにいったん味方にパス、などサッカーのゲームでは1プレー1プレーに「小さなチャレンジ」が起きるのです。
年齢を重ねて高度な戦術になっていったときには、慎重にならないといけない場面も出てくるでしょうが、「楽しむ」フェーズである小学生年代では、どんどんシュートを打ち、守備ではボールを奪う。まずはチャレンジすることに集中してください。失敗したからといって命まで奪われてしまうようなことはありません。
積極的にどんどん挑戦することを求められるサッカーは、子どもたちのチャレンジ精神、やり抜く力を育むのにうってつけの教材なのです。