不安定で不確実な社会を生き抜くスキルの身につけ方
2019年3月20日
一度の失敗を引きずらない! サッカーで「折れないしなやかな心」を身につける
2020年に大学受験改革を象徴とする大教育改革を控える日本では、この年を契機に〝賢さ〞の中身が大きく変わります。
これからの子どもたちには、親世代が経験しているような、記憶力や知識を基に「正解」早く見つけ出したり、テストの点数を競うだけではなく、いろいろな人を納得させられる答えを自分で導き出す思考力が問われます。
本連載では「自分で決められる賢い子供 究極の育て方」(KADOKAWA)から、10年後の社会を賢く生き抜くために、子どもたちが身につけておくべきスキル(ライフスキル)についてお伝えします。
教育の場でも重要なワードとなっている「非認知スキル」は、スキル=技術なので、親の学歴や経済力、生まれ持った資質や才能、特質ではなく、後天的に習得が可能なのです。
■ただ「強い」だけじゃダメ、これからの社会を生きるために必要なメンタル
・コーチに言われた何気ないひと言でシュンとして、まだ元気が出ない、
・試合中にゴールを外したらチームメイトに「決めろよー」と言われショックを引きずっている
・ちょっと失敗しただけですぐ心が折れて興味を失ってしまう...
「子どものメンタルを強くしたい」という要望を持つ親御さんも少なくないようです。
教育改革をはじめ、多様化・グローバル化するこれからの社会では、母国語が同じで似た様な文化背景で育った人だけでなく、様々な人と一緒に勉強したり、一緒に仕事をすることが増えます。そういった社会に出る子どもたちには、自分で考えて行動できる人、思考力やコミュニケーション能力を発揮した「問題解決能力」が重要視されます。マニュアルがない問題、思いがけない逆境に直面した時に自分で対処できる方法を養うことが求められているのです。
そのために、どんなふうに心を強くすればいいでしょうか。
以前は、逆境や失敗に直面した時、それに負けない強さが必要だと考えられていましたが、最近ではただ強いだけでは自分のキャパシティーを超えた逆境や取り返しのつかない失敗をしてしまった時に心がポキッと折れてしまうことが分かってきました。
目まぐるしく変化する社会の中で、いちいち心が折れている暇はありません。ただ強いだけでなく「しなやかな」精神を持つことが、心身の健康を保つためにも必要なのです。
やり抜く力(GRIT)の要素の1つでもある「レジリエンス」は、逆境力、跳ね返り力ともいえるスキルで、弾力性があり折れない、しなやかな心を養成するためにも大事なものです。
折れない心、レジリエンスも「失敗がたくさんあるスポーツ」であるサッカーの経験を通して後天的に身につける事ができます。ですから保護者のみなさんはそれをサポートしてあげましょう。
■折れない心を身につけるために大事なこと
日本のスポーツ界で度々議論にあがる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」は、もともとスポーツ一筋に打ち込んできた選手で、どちらかと言うとメンタルが強いと言われていた選手たちが多いのです。
予期せぬ苦難や未曽有の大災害に遭うなど、何が起きても不思議ではない人生において、最近では弾性をもってしなやかに対処することの重要性が高まっています。
サッカーでは、攻撃しようとボールを持ったらすぐに相手に奪われた、など試合中に小さなミスがたくさん起こります。そのような場合は、自分もすぐにボールを奪う、自分で奪えなくても仲間と協力してボールを奪うなど、気持ちを切り替えることが大事です。
シュートを外したと思ったら、跳ね返ってきたボールが自分の前に転がってきてチャンスになることもあるのです。天を仰いで一度のミスに落ち込んでいるよりも、「次、次」と気持ちを切り替えてセカンドチャンスを待っていた方がずっと幸せです。
失敗を引きずらない。折れない心を身につけるには切り替える力が大事なのです。
そういった「次、次」のチャレンジ精神を高めるために、親は他の兄弟と比較しないこと。たとえ兄弟でもです。誰かとの比較は子どものやる気をスポイルしますので、その子なりに挑戦したことを認めてあげてください。