考え・自分で行動する力を伸ばす ~サンガつながり隊よっしぃコーチの「みんながつながり隊っ!」~

2019年1月17日

誰かに教えることで伝える力がつく! サッカーで体験するアクティブラーニング

京都サンガでは「サンガに関係する全ての人々の心を明るくすると同時に、サッカーを通じて地域を振興し、連帯を深めること」を理念としています。この理念をもとに「子ども」に焦点を当て、「子どもまんなかプロジェクト」と題し、2012年から「サンガつながり隊」という活動を行っています。

これまで福中善久コーチの「エガオノミカタ」としてお送りしてきたコラムがリニューアル。よっしぃコーチの「みんながつながり隊っ!」としてお送りしますのでお楽しみに。

第四回目のコラムをどうぞ。

アメリカ国立訓練研究所が、学習定着率を表す「学びのピラミッド」というものを発表しています。これは「単に話を聞くだけ」よりも「自分が学んだことを誰かに教えることによって、より学習の理解度や定着率が高まる」ということを示しています。

ピラミッドの上半分が授業を受けるなどの「インプット学習」にあたり、下半分が自ら行動を起こす「アクティブラーニング」と呼ばれるものです。

サッカーなどスポーツでは、この「アクティブラーニング」をする機会も多く、私も指導の現場では常に意識しています。

ちょっとした工夫でできるので、保護者の皆さんも一度試してみてはいかがでしょうか?

<<前回:「うちの子○○で......」あなたの謙遜が子どもの自己肯定感を下げている

口に出して伝える事、アウトプットすることで考えを整理して伝える力がつきます

 

■①「教えてちょうだい」と言ってみる

例えば子どもが自分でつくったものを見せてくれたとします。その時、どのようにつくったか予想できたとしても、「どうやってつくったのか教えてちょうだい」と聞いてあげてください。

きっとうれしそうにつくり方や「ここのところが難しかったけど、こうしたらうまくできた」と説明してくれるはず。

自分がつくったプロセスを整理したり、自分が工夫した部分を思い出したリすることで、ものづくりを通じて学んだことを自然とおさらいすることができるのです。

■②「教える」ことで本当は理解できていないことが見つかることも

「サンガつながり隊」ではいろんなプログラムを行っていますが、全員がすぐにうまくできるわけではありません。そんな時、私ができない子を直接指導するのではなく、うまくできた子に「あの子に教えてあげて」とお願いするようにしています。

子どもはいろんな言葉を駆使してうまくできるコツを教えようとしてくれますが、「あれ? ちょっとおかしいかな?」となることもしばしば。

時にはうまくできたと思っていたことが、実はまぐれでたまたま成功していたということもあります。

そういう経験を通して、大切なポイントがどこにあるかを再確認することができるのです。

■③誰かの役に立つことが自分の喜びに

自分ができなかったことができるようになるのもうれしいことですが、自分が教えてあげた子がうまくできるようになることも、子どもにとっては大きな喜びです。

誰かの役に立つことは子どもだけでなく、誰にとってもうれしいことですし、「次も誰かがうまくできなくて困っていたら、また教えてあげよう」という気持ちになりますよね。

自分が学びながら、うれしい気持ちにもなれるって、素睛らしいことだと思いませんか?

<<前回:「うちの子○○で......」あなたの謙遜が子どもの自己肯定感を下げている

福中善久(ふくなか・よしひさ)
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAで幼児~小学生を中心に様々なスポーツやキャンプ指導にあたった。また、大学生の指導者育成や高齢者スポーツなど幅広く活動。京都サンガでは未来を担う子どもたちに、スポーツを通じて「人と人がつながっていくことの大切さ」を伝える「サンガつながり隊」のコーチとして活動。地域の小学校を中心に年間2万人の子どもと関わっている。
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