考え・自分で行動する力を伸ばす ~サンガつながり隊よっしぃコーチの「みんながつながり隊っ!」~

2019年10月 1日

やる前から「ムリ」「難しいことを避けてもいい?」という子ども。困難を避けていて問題解決能力はつく?

京都サンガでは「サンガに関係する全ての人々と夢と感動を共有し、地域社会の発展に貢献する」を理念としています。この理念をもとに「子ども」に焦点を当て、「子どもまんなかプロジェクト」と題し、2012年から「サンガつながり隊」という活動を行っています。

2012年の発足からこれまでに接した人の数は11万人以上。たくさんの小学生とその保護者らを見てきたよっしぃコーチの「みんながつながり隊っ!」。

今シーズンは子どもたちからの質問に答える形でお送りします。

第五回目の今回は、「難しいことを避けてもいい?」と子どもからの質問です。すぐ「ムリ」「失敗したくないからやりたくない」という子、いませんか? 大人だって難しい事、困難は避けて通りたいときもありますが、難しいことはすべて回避したまま大人になってもいいのでしょうか。

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難しい事、困難にぶつかることは好きではないもの。子どもの問題解決能力を育むために大人はどうすればいいか。

 

今月の子どもからのQuestion?

「難しいこと」を避けてもいいですか?

 

<よっしいコーチの回答>

スポーツや勉強に取り組んでいる時はもちろん、友達と遊んでいる時でさえ、たびたび困難なことに出会います。

そんな時、「ムリ」と思って途中で投げ出したり、避けて通りたい気持ちになる人も多いのではないでしょうか? でも、困難は決して悪いことばかりではありません。

■困難を乗り越えた達成感や学びの実感は「楽しい」につながる

発明王エジソンは、「失敗したわけではない。それを誤りだと言ってはいけない。勉強したのだと言いたまえ」「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ」「困るということは、次の新しい世界を発見する扉である」というように困難や失敗に関する多くの名言を残しています。つまり、工ジソンは「難しい」と感じたことに出会ったことを、学びや成長のチャンスだと捉えているのです。

「サンガつながり隊」では、自分たちでチームをつくったり、ルールをつくったりするプログラムを実施し、仲間と相談しながら課題を克服したり問題を解決していくよう、促して います。

その過程では、うまくいかないことや、相手のことを「ずるい」「せこい」と思うこともたびたびあります。しかし、最終的には「難しかったけど、楽しかった」という感想を持つ子どもが多いのです。それは、子ども自身が困難を乗り越えた達成感や、字びができたという実感を得たからではないでしょうか。

■何歳になってもわが子を四六時中管理することはできない

最近、子どもが取り組むことに対して、「子どもが困らないように」「トラブルがないように」 と、大人がお膳立てしすぎだと私は感じています。しかし、四六時中子どもを管理することは絶対に不可能です。

子どもたちだけで過ごしている時、成長し社会に出た時は、自分自身で問題を解決していくしかありません。ですから、問題に直面している子どもを見た時は、 「ああしなさい、こうしなさい」「○○が悪いんだから、あやまりなさい」と強引に解決に導くのではなく、「どうしたの?」「何が問題なの?」と声をかけるよう、心がけてください。

大人の真の役割は、子どもたちが自分で考えたり、相手と相談したりしながら、不測の事態に対応し、問題を解決していく力を育んであげることなのです。

そういった意味で、不測の事態の連続であるスポーツにはたくさんの学びと成長のチャンスがありますし、スポーツを通じて問題を解決しながら生きていく力を子どもたちに伝えていきたいと、私は考えています。

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福中善久(ふくなか・よしひさ)
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAで幼児~小学生を中心に様々なスポーツやキャンプ指導にあたった。また、大学生の指導者育成や高齢者スポーツなど幅広く活動。京都サンガでは未来を担う子どもたちに、スポーツを通じて「人と人がつながっていくことの大切さ」を伝える「サンガつながり隊」のコーチとして活動。地域の小学校を中心に年間2万人の子どもと関わっている。

▼サンガつながり隊の詳細はこちら
https://www.sanga-fc.jp/hometown/tsunagari/

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