考え・自分で行動する力を伸ばす ~サンガつながり隊よっしぃコーチの「みんながつながり隊っ!」~
2020年1月 9日
言われた通りにするだけじゃサッカーは上手くならない! 指示待ちではなく、考えて動ける選手になるために家庭でできること
京都サンガでは「サンガに関係する全ての人々と夢と感動を共有し、地域社会の発展に貢献する」を理念としています。この理念をもとに「子ども」に焦点を当て、「子どもまんなかプロジェクト」と題し、2012年から「サンガつながり隊」という活動を行っています。
2012年の発足からこれまでに接した人の数は11万人以上。たくさんの小学生とその保護者らを見てきたよっしぃコーチの「みんながつながり隊っ!」。
今シーズンは子どもたちからの質問に答える形でお送りします。
第9回目の今回は、「言われたとおりにすれば成長できますか?」と子どもからの質問です。スポーツでも勉強のように教えてもらったり、言われたことだけを守っていれば上達するものだと思っている人もいるようですが、そうではありません。指示されたことだけ実行するのではサッカーの上達にもつながらないのです。
【今月の子どもからのQuestion?】
言われたとおりにすれば成長できますか?
<よっしいコーチの回答>
多くの人が、スポーツも勉強のように教えてもらったり、言われたことだけを守ることによって上達するものだと思っているようです。
「サンガつながり隊」でも、すぐに「どうやったらいいんですか?」「人数が余っているんですけど、どうしたらいいですか?」と、コーチや先生に答えを求めてくる子がとても多く感じられます。
しかし、私のスタンスは、子どもたちが考える前や行動する前に、やり方や答えを教えることはしません。なぜなら私は「コーチ」ですから。
■言われたことを正確にこなせばいい時代ではない
「コーチ」の語源は「馬車」で、私は「人を目的地まで運ぶ(導く)人」、転じて「後ろから人を支える人」と解釈しています。スポーツ、特にサッカーは展開が速くスピーディーで、状況もめまぐるしく変化します。
そんな中で、いちいちコーチが指示をして選手を動かしていては、とても対応できません。
サッカーにおいても、試合中にGKと1対1のシュートチャンス場面で「コーチどうしたらいいですか?」と聞いてからシュートを打っていてはもう遅いのです。
だからこそ、選手が自ら考えて行動できるよう、普段からコーチが導いてあげる必要があると考えているのです。
昔の社会では、言われたことを正確に早くこなすことが評価されてきましたが、多くの事が機械やコンピューターに取って代わった今、人間に求められる能力も変化しつつあります。
また、世の中では正解や不正解といったはっきりした答えがないこともたくさん起こっています。そんな社会で生き抜くためには、自分で考え、判断し、行動することや、自ら課題をみつけて解決していく方法を身につける力が最も必要だと私は考えています。
■あえて"察しの悪い大人"になって子どもの力を引き出す
家庭でのことも少し振り返ってみてください。
食事中、子どもが「しょうゆ」と言えば、そっとしょうゆを差し出していませんか? あるいは子どもが学校に出かけるとき、「水筒持った?」など、構いすぎていませんか? 保護者は子どもが大変な思いをしないように、あれこれ先回りして動きすぎたり、子どものために答えを用意しがちです。
しかし、「しょうゆがどうしたの?」と"察しの悪い大人"を演じることで、「そっちにあるしょうゆを取ってちょうだい」と要望を正確に伝えられるようになったり、水筒を忘れても友達にお茶を分けてもらうなどの工夫をしたりと、自然と自分で考えて行動できるものです。
その中で大人には思いつかないような素晴らしいアイデアが出てくることもあるので、一歩引いたところで子どもを見守ることも大切ではないでしょうか。
福中善久(ふくなか・よしひさ)
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAで幼児~小学生を中心に様々なスポーツやキャンプ指導にあたった。また、大学生の指導者育成や高齢者スポーツなど幅広く活動。京都サンガでは未来を担う子どもたちに、スポーツを通じて「人と人がつながっていくことの大切さ」を伝える「サンガつながり隊」のコーチとして活動。地域の小学校を中心に年間2万人の子どもと関わっている。
▼サンガつながり隊の詳細はこちら
https://www.sanga-fc.jp/hometown/tsunagari/