東北の元気を届ける『仙台だより』
2011年10月27日
気仙沼・鹿折FC、震災からの7ヶ月~「サッカーファミリーの支援を力に」
鹿折FC高学年の子ども達。真新しい白いユニフォームはベガルタ仙台・市民後援会の支援により新調しました。
■サッカーファミリーの支援をチームの力に変える
「今回ばかりは皆さんの支援がなければ再開することはできませんでした」と語る菅原さん。活動再開にこぎつけられたのは、多くの方の支援があったからです。
ユニフォームをはじめ多くのサッカー用具を失った鹿折FCでしたが、全国からボールやビブス、ゴール、バッグなど多くの支援物資が届きました。また、ベガルタ仙台を支える市民団体ベガルタ仙台・市民後援会の支援により、新しいユニフォームも作ることができました。ベガルタ仙台・市民後援会には気仙沼支部があり、気仙沼支部と市民後援会事務局が連係し、支援が実現しました。
さらにありがたかったのは、全国様々な大会に招待を受けたことだそうです。今まで参加できないような大会にも招待で呼ばれて貴重な実践経験を積んだ子ども達は力をつけ、3~5年生の各学年チームが全て宮城県大会まで駒を進めることができました(6年生は女子1名のみ在籍のため、全日本少年サッカー大会はブロック予選で敗退)。「今までに無かった大会にも呼んでもらえました。練習場所がなくて試合で勉強するしかなかったのでありがたかったです。苦しい時こそ勝たなきゃダメなんだな、と思いました」と語る菅原さん。大変な環境の中でもサッカーができる喜びを感じている鹿折FCの子ども達は、懸命な頑張りを見せ、サッカーファミリーの支援を力に変えているのです。
今回取材に入ったのは水曜日の夜19時。小学生年代のチームとしては遅い時間ですが、気仙沼市立松岩中学校の体育館を借りて練習を行いました。
■練習場不足が今後の課題に
目下の課題はやはり練習場です。夜間照明の使える中央公民館のグラウンドが使えなくなった鹿折FCは現在、平日は空いている体育館、日中練習ができる土日は空いているグラウンドなどを使い、グラウンドが予約できて練習できる時に練習する形を取っています。取材に入った日は気仙沼市立松岩中学校屋内運動場(体育館)を使っていました。使用できる体育館やグラウンドも様々な学校やスポーツ団体等が使用するため、練習はどうしても不定期になります。「自衛隊がいなくなってから小学校のグラウンド等は借りやすくはなりましたが、優先順位は中学校が先です。うちは平日練習をやったら土日はなるべく休ませたいという方針でしたが、平日体育館1回だけでは足りず土日も練習しなければなりません。小学生にとっては夜19時以降の練習というのも辛いようです。夜間照明があれば12月末くらいまで練習できるのですが…」と菅原さんは思うに任せない活動状況を訴えました。
体育館も半分のスペースしか使えません。そんな中でも子ども達は元気に練習に励んでいました。
元々気仙沼市は天然芝・人工芝のグラウンドが全くない地域で、隣町の南三陸町の「歌津平成の森」が最も近い天然芝グラウンドでしたが、このグラウンドも天然芝がはがされ仮設住宅が建ち、仮設住宅撤去後も芝生化はできない模様です。厳しい練習環境の地域が震災を経てさらに厳しい状況に陥っています。
厳しい状況ではありますが、菅原さんは「いろんな方に助けてもらいました。電話が通じなかった間、たくさんの着信履歴がありましたが、全部サッカー関係者だったのです」とサッカーファミリーの絆の強さに感謝の言葉を口にしています。大きな被害を受けた鹿折FCは、多くのサッカーファミリーに支えられ、子ども達も指導者の皆さんも全力でサッカーに取り組んでいます。5年生以下の選手が出場する新人大会宮城県大会は11月。躍進を心より期待しています。
【関連リンク】
1