東北の元気を届ける『仙台だより』
2011年11月21日
悲しみを乗り越えて~仲間2人を失った宮城「わたりSSS」(2/2)
宮城県沿岸部の中でも南に位置する亘理町で40年の伝統を誇る「わたりサッカースポーツ少年団(以下わたりSSS)」。仲間の死という大きな悲しみを乗り越え、わたりSSSは公式戦で団結。そしてチームOBから思わぬ支援もありました。
■OBのJ1大宮鈴木監督の誘いで大会参加、そしてセレクションへ
つらいチーム状況の中、全日本少年サッカー大会で宮城県ベスト8という結果を残したチームに嬉しい知らせが舞い込みました。「OBのJ1大宮鈴木淳監督に『震災で大会が無くなっていきそうなので、大宮で何か参加できそうな大会があるようなら連絡して欲しい』と話したら、後日彼から電話が来ました」薄木さんにかかってきた電話は大会への参加の誘いでした。わたりSSSは8月22日に行われた大宮アルディージャサッカーフェスティバルに招待されました。FC東京のスクール選抜や大宮アルディージャジュニアなどと試合をして、大変勉強になったそうです。
そして後に、こうした交流がきっかけとなり、6年生2人が大宮アルディージャジュニアユースのセレクションを受けることになったのです。そのうち1人は、能力が認められて、11月16~18日の最終選考まで残りました。「6年生でFWをやっている足の速い子です。ディフェンスの最後の一枚を破るため、スピードで抜けて行けるような選手になれるよう才能を磨いてあげたいと思っています」と薄木さんも大きな期待を寄せています。
故郷を思う鈴木監督の支援により大きな大会に招待され、さらにはJリーグのアカデミーチームに力を認められた選手が出たことは、チームに新たな活力と明るい話題をもたらしました。
↑わたりSSSの子どもたちの袖には喪章がつけられている
■悲しみを乗り越え、明るくサッカーに取り組む子どもたち
一緒にプレーしていた仲間を失うという大きな悲しみに包まれたチームでしたが、厳しくも温かい薄木さんの指導の下、サッカーに元気に打ち込んでいます。
薄木さんの普段の指導はあくまで自然体です。「子どもたちには『震災で仲間を亡くしたことは忘れずに、グラウンドではしっかりその子の分まで頑張ろう』と言っています。子どもたちは明るくサッカーをやってくれていてホッとしています。うちは厳しいところは厳しいですが、あまり枠にはめずに私の方からも冗談を言いながらやっています」と語る通り、新人大会での薄木さんは厳しく戒める部分は厳しい物言いをされていましたが、試合前には子どもたちをリラックスさせるため、冗談を交えて楽しい雰囲気を作っていました。そんな中、子どもたちはサッカーをのびのびと楽しんでいました。
↑新人大会を戦ったわたりSSSの子どもたち
悲しみを乗り越え、明るくサッカーを楽しむ子どもたちの姿が戻ったわたりSSS。今後も子どもたちが元気にサッカーに取り組んでくれることを心から願っています。
【追記】
薄木監督から嬉しい知らせが届きました!大宮アルディージャジュニアユースの最終選考まで残った子が、最終選考に合格し、来年大宮アルディージャジュニアユースに加入することが決まったそうです!大宮での活躍を祈っています。
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