「しつもん」を少し工夫するだけで、子どもはグングン成長する!

2014年7月23日

「子どもに答えてもらえない」は、しつもんのタイミングで改善する

■『レリゴー♪』を止めないで 話しかけるタイミング

これは少しドキッとする言葉ですよね。子どもたちとの会話を振り返ってみると、たしかに何かに集中しているときは「心ここにあらず」の状態です。でも子どもたちは、自分たちのしたいことにフォーカスして、集中力を高めているのかもしれません。
車の中で歌っているときに「ちょっと歌をやめてママ(パパ)とお話ししよう」と言われたらどうでしょう? 子どもたちはいま観た感動のシーンを反芻して、歌詞やメロディを心に焼き付け、自ら感性を高めようとしている最中だったかもしれません。
この大切な時間を遮って、自分の聞きたいことを聞いてしまい、何かを押しつけようとするのは、子どもの成長を願いながら、その成長を邪魔しているようなもの。本末転倒ですよね?

■親が決めた正解は深まらない、次の質問で会話の質をアップ

「どうだった? に続く言葉が出てこなくても我慢することは大切ですが、たとえ的外れな答えが出てきても無視したりバカにしたりせず、どうしてそう思ったのかを聞いてあげることが重要ですよ」
子どもは時に大人が思ってもみないような答えを返してきます。藤代さんは自分や世間の常識と違う答えだからと言って、否定するのも価値観の押しつけにつながるといいます。
「怖かった」
楽しい映画を観て、そう答える子どももいるかもしれません。「えー、楽しかったでしょう?」親はなぜ子どもがそんな反応をしたのかと気になり、"一般的な"正解、みんなと同じ考えに導こうとします。
「そこは責めるような意味合いはまったく込めずに『どんなところが?』と、どうしてそう思ったのかを聞いてあげましょう」
 しつもんメンタルトレーニングでは、子どもたちの「自分らしさ」や「感性」を大切にします。大人が「ちょっと違うな」と思っていても、子どもが感じたことを否定せず、子どもたちが話してくれる「なぜ」に寄り添ってみると、会話が深まり、思ってもみなかった子どもの可能性に気づくことがあります。
「親子で行うワークショップでは『子どもってこんなにいろいろ考えているんですね』という声が親御さんから聞かれます。じつは子どもはもともと考えているんです。表面的な態度や表現で判断して子どもの考えを聞こうとしていないのは、むしろ私たち大人の方なんです」
少し盛りだくさんになりましたが、しつもんメンタルトレーニングの基本中の基本、質問の仕方には、親子の会話、コミュニケーションのあり方を考えるヒントがたくさんあります! 初回からいきなり目から鱗の本質的な話になりましたが、次回からはさらに具体的に、藤代さんのライフワークでもあるサッカーの話題も例に取りながらお話をお聞きします。
藤代圭一(ふじしろけいいち)
1984年生まれ。愛知県名古屋市生まれ、東京都町田市育ち。大学中退後、スポーツメーカー勤務。子ども向けのスクール事業に携わる。元サッカー日本代表選手の元でコーチを経験した際に、結果を出している選手の多くは人間性が素晴らしい事を実感。心の状態が試合の結果を影響を与えることを学び、心を充実させる必要性を感じ始める。心理学や人のやる気を引き出すことに効果的なコーチングを学ぶにつれ、「結果を出したい子どもたちのサポートをしたい」と思うように。2011年、フリーランスのメンタルコーチに。小学校や中学校、高校などの教育機関への「子どものやる気を引き出す」をテーマとした講演を行う傍ら、スポーツスクールや少年団へのセミナーやワークショップを精力的に行う。子どもたちが潜在的に持っている力を信頼し、伸ばしてあげたいと考える両親や指導者の方々に好評を得ている。モットーは「すべては人の心が決める」「子どもたちがその子らしく、自分を表現する事ができる世界をつくる」のミッションを掲げ、東京近郊を中心に活動中。

前へ 1  2

関連記事

関連記事一覧へ