「しつもん」を少し工夫するだけで、子どもはグングン成長する!
2014年9月11日
しつもん(質問)が尋問になるとき、子どもの成長は止まる
しつもんメンタルトレーニングコーチの藤代圭一さんと一緒に、子どもたちとのコミュニケーションを活発にしてさらに深めるためのしつもん力について考える連載の第三回目は、前回にも少し触れた“質問”と“尋問”の違いについてです。
あなたが普段何気なく発している“質問”。じつは子どもたちへの“尋問”になっているかもしれません。
取材・文/大塚一樹
■やる気スイッチは子どもではなく自分の中に
「前回はお父さんやお母さんが満たされた状態で質問することの大切さをお話ししました。今回はそれに関連して、子どもたちにして良いのはあくまでも“質問”で絶対に“尋問”であってはいけないというお話をしようと思います」
コップが満たされた状態で接すれば、子どもたちの答えが変わってくる。子どものせいにしていたことが自分たちの生活から変えていけるというお話に、目から鱗の人も多かったはず。藤代さんはコップを満たす話と似た、ろうそくの火を移す話をしてくれました。
「まず自分が大切という話は、一本のろうそくの火を移していく場面を思い浮かべてもらうとわかりやすいかもしれません。自分の心に灯した明かりを、子どもたちや家族に順番に移していくイメージです」
お母さんが輝いていなければ、その明かりは子どもたち、お父さんにも移すことができません。「やる気スイッチはどこですか?」と子どもの隅々までスイッチを探す保護者の方は大勢いますが、本当のスイッチは自分の心の中にあるのかもしれません。
■“尋問”ではなく“質問”をしよう!
今日のテーマの“質問”と“尋問”ですが、みなさんはこのふたつの言葉にどんなイメージをお持ちでしょう。質問は聞くこと、尋問はたとえば警察官が取り調べの際に行う質問よりも強いものというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。答えを自分の都合の良い方に導くことを誘導尋問と言ったりしますが、法律学でも、質問は答える義務がないもの、尋問は供述する義務が発生するものとして区別されているそうです。
難しい区別はともかく、「しつもんメンタルトレーニング」の目的は質問自体にあるのではなく、問いかけから生まれるコミュニケーションや会話から子どもたちの成長を促すことです。
「子どもたちが話したいことを聞いてあげる、話したいことを話すきっかけを作ってあげるのが質問の役割です」
藤代さんは、学校のテストのように用意された正解を期待する聞き方は、一歩まちがえると尋問になってしまうと注意します。
「学校の勉強、テストとは分けて考えて欲しいのですが、質問の目的は子どもたちに“考えてもらう”ことです。本当は話したいこと、気がついたこと、感じたことがあるのに、それがうまく話せない場合に、質問をしてあげることでそれがワッと出てくる。たぶんお父さんお母さんにも経験がありますよね?」