「しつもん」を少し工夫するだけで、子どもはグングン成長する!

2014年9月11日

しつもん(質問)が尋問になるとき、子どもの成長は止まる

 

■子どもたちの考える力を奪う“尋問”

「サッカーだったら・・・・・・」
 
自身もサッカー経験者、サッカーコーチとして指導に当たった経験もある藤代さんは、サッカーの指導現場を例にとってこう話します。
 
「ボールの蹴り方、たとえばインサイドキックを教えることき、技術書では『ボールが当たる部分面を作って』とか『軸足をボールの横に』とか書いてありますよね。そうやって教えることも大切かもしれませんが、子どもたちに『どうやったらボールがまっすぐ転がると思う?』と聞いてみてください」
 
藤代さんは技術書に書いてあることに頼って教えている大人や自分の蹴り方を教え込もうとしている大人の考えより、子どもたちが考え、出した答えの方が価値があると言います。
 
お父さんが同じチームのキックがうまい子どもを例にとって「ほら、ボールを蹴るとき○○くんの足はどうなってる?」。良くやってしまいそうな言い方ですが、これは答えのある「尋問」ですよね。しかも、お父さんから言われた分、子どものプライドを傷つけてしまっているかもしれません。
 
「どうやったらボールがまっすぐ転がると思う?」
 
この“質問”なら、子どもは余計なことを考えず、ボールをまっすぐ蹴る方法について考え出します。“質問”のいいところは、すぐに正解にたどり着く必要がないところです。
 
「はじめは間違った方法を思いついても、決して否定しないでください。子どもが思いついたことを『じゃあ、やってみよう』と試してみることで、正解を教えてもらうこととは別の意味のある体験ができるはずです」
 
藤代さんは、子どもと一緒に考えることで親も成長できることが、質問をきっかけにコミュニケーションを重ねていくメリットだと言います。
 
「自分の考えが事実と違ったときに、試行錯誤することで事実を知る大切さも一緒に学べるんです」
 
子どもたちに関わるすべての大人は、子どもに声がけをするときには、自分の問いかけがそこから何かかがはじまる“質問”なのか、答えを求める“尋問”なのかをいつも意識するべきです。
 

■「なぜ?」ではなく「どうしたら?」で聞く

「なんでできない?」「なぜシュートを打たなかった?」ジュニアサッカーの現場ではいまだに「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」の大洪水です。プレー中に自分で考えながらプレーするサッカーでは「なぜ?」を突き詰めることが重要なのですが、コーチや保護者の声がけが、なぜ? になることには弊害もあると藤代さんは言います。
 
「声がけや質問はできるだけ「Why(なぜ?)」ではなく「How(どうやって、どうしたら?)」で聞いてあげてください」
 
先ほどの「なんでできない?」と聞かれた子どもは、どう答えたらいいのでしょう? 予想されるのは黙ってうつむいてしまうか「練習をきちんとやっていなかったから」というコーチが納得しそうな言葉を絞り出すのが精一杯という状況です。
 
「そうだろう。じゃあ明日から練習しよう」
 
一見、成立しているように見える会話ですが、この場合はコーチ側に子どもに反省させたい意図が見えます。これは状況的にも尋問でしかなく、そこで得られた答えも子どもたちにとっても「言いわけ」で終わってしまいます。
 
藤代さんの「しつもんメンタルトレーニング」では質問は、相手のためになっているか? を常に意識してするものです。子どもたちは大人が思うより敏感でかしこいので、大人の意図を汲んで答えを用意することも朝飯前です。
 
こうしたことに時間を使うより、「How型」の質問を投げかけて、子どもたちが真剣に考え、出てきた答えに対して、さらに「どうしてそう思うの?」「じゃあやってみよう!」と会話がどんどん深まっていく方が数段意味のあることです。
次回に続く>>
 
藤代圭一(ふじしろけいいち)
小学校や中学校、高等学校で「子どものやる気を引き出す」をテーマとした講演を行う傍ら、スポーツスクールや少年団へのセミナーやワークショップを精力的に実施。子どもたち選手が潜在的に持っている力を信頼し、伸ばしてあげたいと考える両親や指導者の方々に好評を得ている。U-15女子サッカーチーム全国大会4位入賞、フットサル全国優勝、U-18インターハイ出場に貢献。
 
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