あなたの街のサッカーママを直撃取材!
2016年11月 3日
うるさいから来ないで!息子の一言で正しい応援の仕方に気づいたお母さんの話
■意外な観戦解禁 息子の方が大人の対応でした
あっという間に時が過ぎ、5年生になった息子が試合を観に来ているお父さんお母さんの話をするようになった。
「○○君のお母さんはいつも試合に来てくれる」
そんな言葉を聞いた飯塚さんは「お母さんは観に行くのやめとくね」と、それまでの約束の継続を宣言した。ところが息子は妙に大人びた口調で「別に来てもいいよ」と一言つぶやいた。
「え?いいの?みたいな感じでした。なんか大人な対応でしたね(笑)。そのときじゃないんですけど息子が話してくれたのは、お母さんがいると緊張して良いプレーができない、観られているのがイヤな気持ちもあった、ということでした。うるさいのもの本当だけど、見て欲しい気持ちも少しあったのかな」
晴れて試合観戦解禁となったわけだが、飯塚さんは数年前のように積極的に試合を観に行くことはなかった。
「観に行かない間に自分のなかで冷却できた面もありました。観に来ていいよと言われてからも、ほかのお母さんたちと観ているとついつい盛り上がりすぎてしまうので、少し離れたところから観ていました」
遠くから見守っていても、息子はすぐに母の姿に気がついた。
「こっちを見て『ああ、来てるな』くらいの感じでしたけど意外にすぐに気がつくものなんですね」
試合が終わった後も、今日の試合どうだった?と感想を聞くことはあっても、自分の感想を言うことはしなかった。“うるさかった時代”の試合後に必ず言っていた「こうしたら良かったんじゃない」も言わなくなった。
「観に行かなかった期間もそうなんですけど、息子が5年生の頃、所属する少年団のママさんフットサルチームに誘われて私もボールを蹴り始めたんです。そしたら何も言えなくなりました」
サッカーは観るものでやるものではない。ソフトボールをやっていた飯塚さんにとって、ボールは手で扱うもので、足を使うなんて想像もつかない世界だった。
「40歳を過ぎてボールを蹴り始めるとは思っていませんでした。当然ですけど、自分ができないのに良くあんなこと言えたなと反省しきりでした」
流れの中で断続的に判断を下すサッカーというスポーツの難しさは、単に手と足だけの違いではないこともすぐにわかった。練習は週に一度だが、息子たちも自然に参加する自由な雰囲気で、挫折することなく続けることができた。3年経った頃から自分なりの楽しさを見出すこともできたという。
「子どもたちと一緒に練習したりもするんですけど、技術もスピードもすごい。フットサルを始めてから、息子が『あんなにパスを強く出したら相手の人が取りづらいよ』とかアドバイスをくれるようになりました」
フットサルを通じてサッカーに触れた飯塚さんは、改めてあのとき息子が「もう来ないで」といった意味を噛みしめることになる。
「情報に触れて、怒るのも大声で何か言うのもダメなんだというのはわかったつもりでしたけど、ボールを蹴らなければ絶対わからないこともあったと思います。そういう意味では、親も一緒にやれるというのは良いですよね」
観戦拒否から2年が過ぎ、息子は中学生になった。飯塚さんは小学校時代を振り返って、こんなことを話してくれた。
「中学校の部活の顧問の先生に『子どもたちの励みになるので、できるだけ試合を観てやってください』と言われて思ったんです。来るなと言われて行かなかったけど、そもそも余計な声をかけなければそんなことにはならなかったし、息子も観に来て欲しい気持ちがあったんじゃないかって」
後悔していることがあるとすれば、3年生から4年生、5年生の息子のプレーをほとんど目にしていないこと。
「いろいろ気がついたいまだから言えることかもしれませんね(笑)」
気がつかないまま大声での応援を続けていたらもっと話がこじれていたのは確実なので仮定の話は難しいが、飯塚さんの心には「わが子の成長をちゃんと観るべきだったかもしれない」という思いがあるという。
接し方ひとつ、試合の見方で子どもたちとの関わりが大きく変わることもある。飯塚さんは、“元ガミガミママ”の代表として、経験と反省を率直に話してくれた。
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