あなたの街のサッカーパパを直撃取材!

2016年4月13日

娘がサッカーを始めたことで女子チームのコーチになったお父さんの話

千葉県松戸市のサッカーチームで、ボランティアコーチとして活動する寺島芳人さん。女子の小学生を対象に、GKコーチとして指導にあたっています。順天堂大学でGKを務めていた寺島さんは、娘さんがサッカーを始めたことがきっかけでコーチの道に進むようになり、指導歴は10年目を迎えます。お子さんの卒団とともにボランティアコーチも卒業する人も多いですが、なぜ10年にわたりつづけることができたのでしょうか? (取材・鈴木智之)
 
 
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■最初は言葉の伝えかたに苦労する

寺島さんはこう言います。
 
「それは、女子サッカーに関わったからだと思います。よく言われるように、女子は中学生になるとクラブチーム中心で、活動の場が少ないんですね。わたしとしてはチームやトレセンで関わった子たちには、少しでも長くサッカーをつづけてほしいという願いがあります。ですので、小学生の子たちを教えながら“どうすれば、中学や高校に行ってもサッカーを続けることができるだろう”と、進路も考えながら指導しています。毎年、子どもたちは卒業して新しい子が入ってきます。その繰り返しがあるから、10年以上つづいたのだと思います」
 
寺島さんやチームのコーチの情熱もあり、チームを卒業する子の8割ほどが、中学生になってもサッカーを続けているそうです。なかにはJFAアカデミーやなでしこリーグの下部組織に進む子もいて、寺島さんの娘さんは東京都内の高校のサッカー部に通い、全国優勝を目指してがんばっています。
 
いまでこそ、女子選手の指導に慣れている寺島さんですが、最初のころは苦労したそうです。
 
「最初のころは、“コーチ、ひげ剃ってない”とか、身だしなみについて言われることもありました(笑)。小学生とはいえ女の子なので、細かいところに敏感です。最初のころは、言葉の使いかたや伝えかたなどは苦労しました」
 
男性が女性と、どのようにして円滑にコミュニケーションをとるか。これはサッカーに限らず、多くの場面で共通するテーマです。寺島さんは女性と接する際のポイントを、こう説明します。
 
「女性は自分の頭で理解して、納得しないと動かないんですね。こちらが、この練習はこうだからとか、この試合にはこういう意味があると説明をして理解すると、行動に移すようになります。感覚で話をしても理解してくれませんし、感情的になるとコミュニケーションがとれなくなります。ですから小学生として見るのではなく、家で奥さんと会話するときのように、ひとりの女性として接することを心がけました」
 

■やる気のないときは練習をしない

寺島さんはGKコーチです。サッカーを始めた女子小学生で「GKをやりたい!」という子は、はたしてどれぐらいいるのでしょうか?
 
「ほとんどいません(笑)。女子でGKやりたい子は少ないので、必然的に最初はわたしの娘がやるようになりました。そして、ほかの子にも『一緒にやってみない?』と声をかけます。『GKがいないと試合ができない、誰かがやらないといけないから、手伝ってくれない?』と言って、GKができそうな運動神経のいい子をピックアップします。小学生の頃は敏捷性を重視するので、身長はあまり気にしません」
 
寺島さんがGKコーチとして少女たちと接するときに気をつけているのが「やる気のないときは練習をしないこと」です。無理やり、「GK練習をしよう」と言ってやらせるのではなく、選手達の状態を見ながら、指導の内容を変えていきます。
 
「基本的に、選手達にやる気が見られないときにGK練習はしません。そもそも、土の上でやるGK練習は痛いです。無理やり練習をさせて、GKを嫌いになってもらいたくはないので、今日は気持ちが向いていないと思ったら、フィールドプレイヤーの練習をしてもらうようにしています。GKは足元の技術も必要ですし、そうすることで新鮮な気持ちで練習に取り組んでくれるかなと思っています」
 
 
 
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