あなたの街のサッカーパパを直撃取材!
2016年6月 3日
中学の部活動ではなく街クラブを選んだ長男と、サッカーから離れてしまった次男を持つお父さんの話
■父親にできることは、選択肢を与えること
見守ること、子どもの本当の気持ちに寄り添うこと、そんな視点で考えてみると、それまでは、「子どものため」と疑いもしなかったことが、"過干渉"や"押しつけ"に見えてくる。濱谷さんは子どもたちの成長とともに、父親として自分も多くを学んでいると言う。
「長男がサッカーを始めた当初は、それこそなにも意識せずにピッチサイドで大きな声を出して“応援”していました。ちょっと熱が入りすぎて審判に注意を受けたこともありましたね(笑)。でも、サカイクの編集者としていろいろな人の話を聞かせてもらって、やはり一番大切にしなければいけないのは子どもの気持ちだと思うようになりました」
とはいえ、子どもの言うことを何でも受け入れるわけではない。日常生活のことやルールについて言うべきことは言う。その上で、選択や決断を必要とするような場面では、子どもたち自身が考えられる環境を意識しつくっている。
「気づいてもらいたいこと、親として良いと思うことを選択肢として示すことはある。でも、そうしなさいとは言いません。子どもたちの言い分をとことん聞いて、考えさせたうえで決断は自分でさせるようにしています」
親にできるのは“先回りして決めること”ではなく、“選択肢を示してあげること”。明確な目標を持って中学に進んだ長男の大きな選択も、濱谷さんが示した選択肢がヒントになっていた。
「長男が小学生のころに“本当にこのままでいいのかな?”と思ったことがあったんです」
■長男のやる気に火が付いたきっかけとは
通っていたクラブは、幼稚園からそのまま地域の子どもが集まるようなクラブだった。メンバーもずっと一緒。仲の良さ、雰囲気の良さはチームの長所でもあったが、どこか馴れ合いになっていたこともたしかだった。
「5年生のとき外部チームにお誘いいただき、2泊3日かけて新潟での大会に参加させてもらったんです。普段は対戦できないような各地の強豪チームと試合を重ねることが刺激になったようで、それから目の色を変えてサッカーをするようになりました」
新潟の話をしたとき、長男はすぐに“行きたい!”と返事をした。向上心はあっても、それをどう表現したら良いかわからない。外部環境に身を置くことで、長男の視野が広がり“もっとできる”“もっとやりたい”という気持ちに火がついた。
「選抜チームの話をしたのはこちらからでしたけど、長男がここまで変わるとは思っていませんでした。誘ってくれたコーチにも大変感謝しています」
選ぶのも決めるのも子ども。親は選択肢を示すだけ。中学でのサッカーライフを始めたばかりの長男や、本当にやりたいこと、自分の新たな道を模索している次男の行く先には、たくさんの選択や決断が待っている。濱谷さんはできるかぎり多くの選択肢を示して、子どもたちの考えを聞き、一緒に悩んで、ともに成長していきたいと語る。
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