【今日からできる】運動会でも速く走る方法
2019年10月 7日
顔や体の力みを解決する方法とは? 力みを取って速く走る練習法【動画で解説】
サッカーやスポーツをしている人であれば、「もっと速く走れるようになりたい!」と思うもの。「スピードアップ」は永遠のテーマと言えるでしょう。
そこで今回はスピードアップのスペシャリストである、ヴァンフォーレ甲府のフィットネスダイレクターの谷真一郎さんに「スピードアップのための5つのポイント」を教えてもらいました。
第一回目は、「顔や身体の力みを取って速く走れるようになるコツ」です。
走るとき、身体に力が入ってしまう子がいますが、力みはスピードを落とす要因。ではどうすればリラックスして速く走れるのか、説明します。
タニラダーを使った、速く走るための練習法も動画でご紹介しますのでご覧ください。
動き自体はシンプルですが、速く走るために、とても大切なコツを紹介してくれています。これを読んで実践することで、スピードアップにつながること間違いなしです!
(取材・文:鈴木智之 撮影:藤森悠ニ)
<目次>
1.スピードを落とす5つの要因
2.良い姿勢の作り方、意識するポイント
3.小学生でも簡単にできる 良い姿勢の作り方
4.この姿勢になってたら注意! 遅くなる身体の使い方
5.力みを取って速くなる ラダートレーニング
<短期集中連載>
【今日からできる】運動会でも速く走る方法
<<第二回は、「女の子走り」、肘が伸びすぎ改善! 速く走るための正しい腕の振りを身につける方法
■足を速くするトレーニングの前に知るべき「スピードを落とす5つの要因」
今回は「直線的な走り」にテーマを絞って、谷さんに教えてもらいます。サッカーの試合中のスプリントやダッシュ、運動会の100m走や徒競走などで役立てることができるテクニックです。
最初に谷さんは「スピードを落とす原因になる5つの動き」について解説します。
「足を速くするためには、速くするためのトレーニングももちろん必要ですが、その前に『無意識的にやってしまっている、スピードを落とす動きの改善』から入ることが大切です。私がトップレベルのプロ選手や子ども達を指導して感じる、スピードを落とす代表的な5つの動きがあります」
それが、次の5つです。
(1)力んで走る
(2)腕を斜めに振り、肘を伸ばして走る
(3)上半身が前傾しすぎる
(4)大股&かかと着地でブレーキが掛かる
(5)膝が上がらず、狭いストライドで走る
まずは1つ目の「力んで走る」ことから。どうしても「速く走らなければ」と思うと、体に力が入ってしまうもの。しかし、この「力み」から来る姿勢の悪化が、スピードを落とす原因になってしまっているのです。
「速く走るためには、地面を踏んで得られるエネルギーを、前へ進むパワーに変換することが重要です。そこで大切なのが、正しい姿勢で走ることです。姿勢が悪いと力みにつながり、地面から得たエネルギーを走りのパワーに効率よく変換することができません」
谷さんはそう言うと、正しい姿勢を実演します。
「骨盤を起こして、肩甲骨を寄せます。そうすると、顔が上がりますよね。視線は足下ではなく、進行方向を向けて、顔を下げないこと。そして、足の指の付け根に体重をかけます。これが、速く走るための姿勢です」
実際に子どもたちに、何もアドバイスをせずに「まっすぐ立ってみよう」と言うと、ここで紹介した正しい姿勢とは反対の立ち方をする子が多いそうです。
「つまり、背中が丸まって猫背になり、骨盤が後傾し、かかとに重心が乗った状態です。これは、日常生活の過ごし方に原因があります。スマートフォンの見過ぎや勉強などで机に向かう時間が長いことから、猫背気味になるのだと思います。日常生活で、無意識のうちにしている楽な姿勢のまま、足の裏で地面を押しても、大きな地面反力を受け取ることはできません。これはすべて、速く走る動きとは対極にあります。アスリートを目指すのであれば、日常生活から正しい姿勢で過ごすことを意識してみてください」
■良い姿勢の作り方、意識するポイント
ここからは、良い姿勢を作るためのエクササイズを紹介します。
「良い姿勢とは、肩甲骨を寄せて背筋が伸び、骨盤が前傾し、顔が上がり、足の指の付け根に重心がかかっている状態です。この姿勢を作るために、まず両手を揃えて上にあげます。そうすると肩甲骨が寄り、骨盤が立ち、足の指の付け根に体重が乗ります。その状態で両手を下ろすと、正しい姿勢ができます。頭の上から髪の毛を真上に引っ張られるようなイメージを持つと、顔と胸が上がり、良い姿勢になります」
【小学生でも簡単にできる 良い姿勢の作り方】
良い姿勢を作っているにも関わらず、走り出す瞬間に「速く走らないと!」と思うと、身体に力みが生じてしまいます。しかし、その気持ちこそが、文字通り足を引っ張る原因になっているのです。
「速く走るためには、80%の力で走ることがポイントです。リラックスすることで、速く走ることができます。陸上選手はスタート前に足先や指先を揺らしたり、首を回したりして体から力を抜く動作をしていますが、それも力みを取り除くためなのです」
速く走るためには、身体の力を抜いてリラックスすること。それはラダーを使ってトレーニングするときも同じです。
「ラダーをするときに足下に目が行ってしまうと、顔が下がります。そして『ラダーのマスに足をしっかり入れよう』と思うと、猫背になり、足先だけの運動になってしまいがちです。結果として、身体に力が入った状態で、動きが小さくなってしまいます」
この姿勢でラダーをすると、トレーニング効果が得られるどころか、遅くなるための身体の使い方が染み付いてしまいます。
【この姿勢になってたら注意! 遅くなる身体の使い方】
「そこで、まずは息を吐いてリラックスし、前方に視線を向け、顔を上げます。そして、肘を曲げて腕を前後にコンパクトに振りながら、ラダーを通過していきましょう。ラダーをするときこそ、良い姿勢を心がけることが大切。これはぜひ覚えておいてください」
【力みを取って速くなる ラダートレーニング】
せっかくトレーニングするのだから、効果的にしたいもの。速く走るために大切な姿勢を意識し、力まないように心がけて、ラダーを駆け抜けましょう!
次回の記事では、「スピードを落とす原因になる5つの動き」の中から、「腕を斜めに振り、肘を伸ばして走る」動作の改善トレーニングを紹介します。
<短期集中連載>
【今日からできる】運動会でも速く走る方法
<<第二回は、「女の子走り」、肘が伸びすぎ改善! 速く走るための正しい腕の振りを身につける方法
谷真一郎(たに・しんいちろう)(ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクター)
筑波大学在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。 引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年から2019年までヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。2020年よりヴァンフォーレ甲府のフィットネス関連の活動に携わるフィットネス・ダイレクターに就任。
『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』
※肩書など修正して再アップします