お家でできるラダートレーニング!タニラダーで速くなろう

2020年4月13日

サッカーでラダートレーニングはなぜ必要? ジュニア年代こそやっておきたい理由やトレーニング効果を解説

サッカーの練習ではしごの形をした器具を用いて行うラダートレーニング。ラダートレーニングの狙いは、目で見た情報を脳に送り処理する能力の向上や、脳からの指令を素早く筋肉に伝え、動きのスピードを上げること。

1人でかつ短時間で、省スペースでできるサッカーの動きの改善トレーニングとして、ジュニアからプロ選手まで、のべ2万人以上が実践した『タニラダーメソッド』

自主練にもぜひオススメしたいタニラダーについて全5回に渡りご紹介していきます。ラダーの練習メニューを知りたい方、ラダーを使用する効果などを知りたい方はぜひ参考にしてください。

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<目次>

1.子どもからプロ選手まで行っているラダートレーニング
2.ジュニア年代にこそラダートレーニングが必要
3.ラダーを使うことで周辺視野のトレーニングにも
【動画】ラダートレーニングでの正しい姿勢

1.子どもからプロ選手まで行っているラダートレーニング

「日本で唯一、選手として日本代表経験を持つフィジカルコーチ」の谷真一郎さん。現役引退後は20年に渡り、プロ選手のフィジカル/フィットネスコーチを務めてきました。長い間、大人(プロ選手)の指導をしてきた谷さんですが、「子どもの頃から、正しい体の使い方を身につけておけば、大人になったときの伸びしろが変わる」と確信し、近年は子どもたちの指導にも力を入れています。


子ども達に「タニラダー」を指導する谷真一郎さん

谷さんがプロ選手へ指導をする中で培ってきたトレーニングが『タニラダーメソッド』。これはラダーを使って正しい動き、姿勢、ステップワークを身につけるもので、動きを改善することで「足が速くなった」「ターンがスムーズになった」「ドリブルがうまくなった」「1対1の対応がうまくできるようになった」など、様々な効果が見られます。

2.ジュニア年代にこそラダートレーニングが必要

昨今、スピードアップ系のトレーニングはたくさんありますが、なぜラダーが必要なのでしょうか? 

正直なところ、ステップワークのトレーニングなどは、ラダーがなくてもできそうです。

そこで谷さんに「なぜラダーが必要なのでしょう?」と尋ねると、次の答えが返ってきました。

ラダーは、正しい動きを身につけるためのガイドになってくれます。ラダーがない状態でトレーニングをすると、足幅が広すぎたり、狭すぎたり、姿勢が悪くなってしまうことがあります。トレーニングの目的は『正しい体の動きを身につけること』なので、ガイドのない状態で、見よう見まねで動くと、間違った動きが身についてしまいます。そうならないためにラダーを使い、正しい足幅や姿勢、頭や肩、足の位置を意識しながら動くことを繰り返し、体に染み込ませていくのです」

実際にラダーがない状態で、子どもたちに『前に速く進んでみよう』と言うと、気持ちばかりが『前に行かなければ』と焦ってしまい、腕の振りや足の踏み込みなど、フォームが崩れてしまうそうです。その状態でトレーニングをしても、効果は見込めません。谷さんは言います。


ジュニア年代のうちに正しい体の動きを身につけると伸びしろが広がる

「ラダーを足元に置いた状態で『前に速く進んでみよう』と言うと、ラダーに引っかからないように、マスの中心に足を入れることに意識が向きます。次に『少し前傾姿勢になり、腕をしっかり振ろう』というと、ラダーのマスに足を入れる動作と腕を振る動作を連動させやすくなり、正しい走りのフォームが身につきます。とくに小学生の場合、ラダーのようなガイドなしで正しい動きを繰り返し行うのは、とても難しいことなのです

3.ラダーを使うことで周辺視野のトレーニングにも

トレーニング中にラダーを意識するあまり、足元に目が行くことで顔が下がり、姿勢が崩れる心配はないのでしょうか? 谷さんは「実はそれが、サッカーのトレーニングになるんです」と笑顔を見せます。

「サッカーのプレーでよくあるのが、パスが足元に来たときに、顔を下げてボールを見ること。多くの人が無意識にやってしまう動作ですが、ヘッドダウンすると視野が狭くなり、周囲の状況の変化を見逃してしまいます」

たしかに、ボールをコントロールするために顔を下げると、周囲の状況や味方の態勢が見えにくくなり、シュートを打つ場面では、GKの様子を見ることができません。

「指導の現場で『首を振る』という言葉を聞きますが、首を振ると頭が揺れます。その状態で、目で見て情報を収集するのは難しいですよね。私は選手たちに『首を振らずに目を動かそう』と言っています。実際にトップレベルの選手を観察すると、ドリブルやシュートのときに、頭を動かさずに目(眼球)だけを下に向けて、ボールがどこにあるかを確認しています」

ラダートレーニングの副産物として、目を動かして、足元の状態を見ることができるようになるそうです。

ラダートレーニングの最中に、姿勢を崩さず(顔を下げず)に、目だけを動かして足元を見ます。そうすることで、ラダーのマスの中のどこに足をつけばいいかがわかります。その目の動きは、サッカーのプレー中に足元のボールを見る動きと同じです」


ラダートレーニングでの正しい姿勢。「タニラダー解説DVD」より

ラダートレーニングの目的は、スピードアップやステップワークの向上にとどまりません。最終的には「サッカーがうまくなること」を目的にしています。それが、他のスピードアップ系トレーニングと一線を画す部分です。

「サッカーがうまくなりたい!という気持ちを持つ子どもたちが、ボーダーラインを越える手助けをしたい」と話す谷さん。実際に、ヴァンフォーレ甲府のジュニアの選手にラダーを使ったトレーニングをすることで、20メートル走のタイムが平均0.3秒縮むなどの成果を出しています。

【動画】ラダートレーニングでの正しい姿勢

次回の記事では、「なぜタニラダーは4マスなのか」について、谷さんにサッカー上達の視点から解説してもらいます。

次回:"たったの4マス" だから、最速のスピードを身につけられる!タニラダーの秘密 >>

谷 真一郎コーチ(ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクター)

筑波大学在学中に日本代表に招集され、柏レイソルで1995年までプレー。引退後は筑波大学大学院にてコーチ学を専攻し、その後、20年に渡りJリーグのクラブでフィジカルコーチを務める。500試合以上の指導経験を持ち、2012年にはJ2で24戦無敗のJリーグ記録に貢献。現在はヴァンフォーレ甲府で「フィットネス・ダイレクター」として活動の幅を広げている。

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