お父さんコーチ必見!現役時代とこんなに違う サッカー今昔物語
2017年7月12日
「打撲にコールドスプレー」は昔の常識!? コーチ・保護者必見、最新の応急処置に欠かせないアイテムとは
サッカーをしていて、避けられないのがケガ。サッカーに多いケガは打撲やねんざなどの「急性外傷」と呼ばれるものです。子どもたちがケガをしたとき、どのような対処をすることで、素早く回復に向かうことができるのでしょうか?
これまで、お父さんコーチがプレーヤーだった頃と変わったルール、水分補給の最新常識をお伝えしてきましたが、日々進化するのはサッカーのルールだけではありません。お父さんコーチがプレーをしていた頃とは、ケガをしたときの応急処置の方法も変わっています。
今回は、スポーツを通じて「生きる力」を持った子ども達を育てる『次世代SMILE協会』研究員であり、子ども達の安全と安心できるスポーツ環境、健全な家庭環境を願う団体『スポーツペアレンツジャパン』の代表を務め、ご自身もサッカーをするお子さんを持つ“サッカーママ”の村田一恵さんに、最新の応急処置についてお話を伺いました。(記事提供:サーモス)
(かつては捻挫をしたらコールドスプレーや冷湿布が冷やすのが常識でした)
■ケガをしたときにはまずRICE処置! 特に“I(アイ)+C(シィー)”が大事
「ケガをしたときに、まずやって頂きたいのが“RICE処置”です。RICEはRest(安静)、Ice(アイス)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったもので、打撲やねんざなどのケガをしたときに、素早く処置をすることでケガがひどくなるのを防いだり、復帰までの時間を短くすることができます」
<RICE処置とは>
Rest(安静)-身体を横にするなど、安静にする
Ice(冷却)-患部を冷却することで痛みを軽減。血管を冷やすことで炎症をコントロール
Compression(圧迫)-患部を圧迫すること腫れや炎症をコントロール
Elevation(挙上)-患部を心臓より高い位置に挙上することで腫れや炎症をコントロール
なかでも重要なのが「アイス」と「圧迫」です。サッカーの練習や試合で打撲やねんざをしたときに、まずはプレーを止めて安静(Rest)にし、患部を冷やします。このとき、コールドスプレーをかけたり、冷湿布を貼ることを「冷やす(アイス)」ことだと思う方もいるかもしれませんが、村田さんは「コールドスプレーはかけた瞬間に皮膚が冷える程度で、冷湿布も本来冷やしたいところまで冷却することはできないんですね。そのため、冷やす意味では期待できません」と説明します。
では、ケガをしたときに、何を使って冷やすのが良いのでしょうか? 村田さんは「氷を使うのが一番です」と言います。
「私の子どももサッカーをしていますが、息子が通うクラブでは『サッカーをするときに必要なものとして、常に氷を持っておきましょう』という話をさせてもらっています。氷があればケガをしたときに、すぐに患部を冷やすことができますし、夏場は熱中症の予防にもなります。もちろん、冬場であっても氷は必要です。夏ほど多くの氷を持っていく必要はありませんが、ケガをしたときの応急処置用に氷は常に準備しておくことをおすすめしています」
アイシングの基本は1回15分程度、RICE処置は48~72時間続けます。氷があれば、ケガをしたときにすぐに冷やすことができます。暑い時は飲水に入れたり、首元を冷やしたりと、様々な場面で役に立ちます。
■昔の常識は今の非常識!? すぐに適切な処置をするためにもコンテナーが便利
(サーモスのアイスコンテナ―は氷が溶けにくいのでサッカーの現場におすすめできると太鼓判を押してくれました)
「ケガをしたときに、すぐに処置をすることが大切で、ジュニア年代のねんざは後々、クセになりやすいんですね。関節が緩んでいる状態でサッカーをして、また同じ箇所を痛めてしまうと、中学、高校と進んでいく上でケガがつきまとうことにもなりかねません。身体が成長の途中にあるジュニア年代こそ、ケガには適切な処置が必要です。小学生の時に氷を使って冷やし、患部にバンテージを巻いて圧迫する方法を知っていれば、今後、ケガをしたときに自分で対処できるようになりますよね」
スポーツの世界に多くの情報が入ってくるようになり、かつては当たり前だったことが、現代では非常識になっていることもあります。アメリカでアスレティックトレーナーとして活動し、帰国後も早稲田大学ラグビー部や川崎フロンターレの選手のトレーニング指導をした経験を持つ村田さんは、次のように説明します。
「たとえば、昔は突き指をしたときは引っ張れば治るという考えが一般的でした。ですがいまは、引っ張るなんてとんでもない。突き指をしたら患部を冷やして圧迫し、安静にするのが一番とされています。指先のアイシングは難しいのですが、紙コップに氷と水を入れて、冷やした水に指を入れるだけで、患部を冷やすことができるんです」
サッカーと氷はセットと考えるのも良いかもしれません。ボール、すね当て、ユニフォーム、スパイク、そして氷。そのような意識でサッカーの会場に行くことができれば、子どもたちがケガをした時も慌てずに、適切な処置をすることができます。
■ケガの処置、熱中症対策に必須!氷は1年中携帯しよう
「氷があれば、ケガの処置や熱中症の対策に大きな力を発揮してくれます。なので、サッカークラブや少年団など、お当番さんはコーチや審判へのお茶の準備もいいですが、それよりもまず氷を用意して、子ども達の安全を確保する。保護者の方に、子どもの安全のために氷を用意してもらうことは、説明すればすぐに同意してもらえると思います。いまはサーモスのアイスコンテナーのように、長時間、氷が溶けずに持ち運ぶことができる容器もあるので、上手に活用しながら、子ども達が安全にサッカーに取り組むことができるよう、我々、保護者もお手伝いできることがあると思います」
これから、暑くなる季節がやってきます。サッカーと氷はセット。そう考えて準備をすると、突発的なケガの対処や熱中症予防に大きな力を発揮してくれるでしょう!
村田一恵(むらた・かずえ)/『スポーツペアレンツジャパン』代表
アメリカの大学でアスレティックトレーナーの勉強を積み、日本に帰国後はJリーグ選手のトレーニング指導などを務めた経験から、子どもたちの安全なスポーツ環境を構築するための情報を発信するため『スポーツペアレンツジャパン』を設立。スポーツをする子どもを持つ保護者(スポーツペアレンツ)への啓蒙活動を行っている。また、スポーツを通じて「生きる力」を持った子ども達を育てる『次世代SMILE協会』研究員として講演活動も行っている。サッカーをしている子どもを持つサッカーママでもある。
<告知>
1