サッカー練習メニュー
2024年5月14日
水戸ホーリーホックアカデミー直伝!選手個人でできる育成年代の障害予防エクササイズ
育成年代では身体的な成長にともない、怪我のリスクが存在する。また成長期でもあるため、適切な疲労回復や栄養補給も重要になる。
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、水戸ホーリーホックアカデミーでトレーナーを務める、道場悠介氏に「育成年代の成長期に気を付けたい、障害予防とトレーニング」をテーマに、理論と実践について教えてもらった。
前編では、成長期に多い怪我の解説や、障害予防のエクササイズを紹介し、成長期に取り入れると効果的なウォーミングアップを実演。また、水戸ホーリーホックアカデミーで実践する栄養や休息の取り組み、スパイクの選び方など、情報提供は多岐に渡る。
年代問わず、成長期の選手を指導するコーチにとって、参考になること間違いなしだ。(文・鈴木智之)
※この記事はCOACH UNITEDからの転載です
選手個人ができる障害予防
動画前編のテーマは「選手個人ができる障害予防」。育成年代の選手は、身体的成長にともない、様々な怪我が発生する。少しでも怪我を減らし、1分でも長くグラウンドに立つことが、選手としての成長につながる。
アカデミーでトレーナーを務める道場氏は「怪我の種類には大きく分けて、外傷、障害の2種類があります」と話す。
外傷とは、捻挫、骨折、脱臼、肉離れ、打撲など、一度に強い外力が働き、怪我をすること。障害は特定の部位に繰り返し負荷がかかり、疲労性で怪我をすることを指す。
「成長期に多い怪我として、オスグッド、シーバー病、腰椎分離症、剥離骨折、足関節捻挫があります。成長期の怪我は、外傷より障害の方が多いです」
それらに加えて、育成年代特有の痛みがある。「成長痛」と呼ばれるものだ。
「骨や骨端が成長すると、筋・腱が引き伸ばされます。骨が先に成長し、筋・腱がそれに遅れて成長するのですが、筋肉は柔軟性に富む一方、骨と比較すると、遅れて成長します。そのため、急激に身長が増加すると、一時的に体の柔軟性が失われてしまう要因になります」
筋肉に柔軟性がないと、骨・骨端部に負担がかかり、痛みが出やすい。その代表的な疾患が、オスグッドやシーバー病というわけだ。
「成長痛予防として必要なのは、筋・腱の柔軟性を高めること。具体的にはストレッチや練習負荷の調整、痛みが強い場合は安静にすることです」
5つのポイントをチェック
選手個人ができる障害予防として、「まずは自分の体の弱点を知ること」(道場氏)が重要だ。
【柔軟性のチェックとバランステスト】
1、しゃがみ込みはできますか。
2、前屈したときに地面まで手が届きますか。
3、うつ伏せで膝を曲げたとき、かかとにお尻がつきますか。
4、うつ伏せで股関節が45度開きますか。
5、目を閉じて、30秒間片足立ちで立つことができますか。
動画ではアカデミーの選手が実演し、道場氏が解説している。詳細はぜひ動画を確認してほしい。
これらのチェックを踏まえた上で、できなかったものに関して、改善・予防エクササイズを行っていく。
まずは足首のストレッチから。壁の前に立ち、立ち膝になる。壁からこぶし1個分空け、壁に膝がつくようにストレッチを行う(20秒)。「かかとが浮いてないかを確認し、つま先も浮かないようにします」(道場氏)
その他に、ハムストリングスのストレッチ、太ももの前部分のストレッチ、股関節内旋のエクササイズ、バランスエクササイズを実演。これらの動きを練習前に行うことで、良い身体の状態でプレーすることができ、怪我のリスクを減らすことができる。
栄養と休息の大切さにも目を向ける
また、休養の大切さについても触れ、「睡眠時間が8時間以内の人は怪我が1.7倍。睡眠時間が6時間以内の人は、怪我や風邪をひくリスクが4倍というデータもあります」と紹介。
実際に「コロナ等で動けなかった時期や、怪我で長期間休んだ選手は、将来身長予測より大幅に伸びている実績もあります」という観点から、夏と冬に長めの休暇を設け、身体の成長に配慮しているという。
食事に関しては、練習後に牛乳、おにぎり、オレンジジュース。ユースではプロテインを摂取し、質の高いトレーニングに加え、休養と栄養に目を向けることで、選手の成長を手助けしている。
動画の最後には、スパイクの選び方(推奨するポイント形状)にも言及しているので、興味のある方は、ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」の動画を最後まで確認していただければと思う。
▼▼COACH UNITED ACADEMY 会員の方のログインはこちら▼▼
【講師】道場悠介/
高校卒業後トレーナーの道に進む為、花田学園の専門学校に進学。6年間在学し柔道整復師、鍼灸師、アスレティックトレーナーの資格を取得。学生時代から千葉県の整骨院で働きながら、学業を両立。2017年整骨院からの派遣でブリオベッカ浦安(JFL)のチームトレーナーに就任。JFLから関東リーグを経験し6年間在籍。2023年から水戸ホーリーホックアカデミートレーナーとして就任し、主に怪我人のリハビリ、応急処置、障害予防のウォーミングアップ等を担当している。