サッカー練習メニュー

2024年5月21日

成長期にこそ取り入れたい!水戸ホーリーホックアカデミーで取り組む、フィジカルやコーディネーションを高める、5つのトレーニング

指導者にとって、練習負荷の設定は悩みの種だ。育成年代の選手は成長期のため、トレーニングのしすぎは怪我を招く一方、低負荷だと成長にはつながりにくい。

サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、前回より水戸ホーリーホックアカデミーでトレーナーを務める、道場悠介氏による「育成年代の成長期に気をつけたい、障害予防とトレーニング」を公開中だ。

後編では「コーチができる障害予防」をテーマに、選手の疲労度の把握、それに伴うトレーニング負荷を調整する具体例。さらには10歳~14歳向けのトレーニング実践など、多岐にわたる実例を紹介したい。(文・鈴木智之)
※この記事はCOACH UNITEDからの転載です

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RPEとACWRを参考に、トレーニングを調節

道場氏は、トレーニングをする際の前提として「試合に向けて適切なメニューや負荷を設定し、選手のピークを合わせながら、強度を上げていく必要があります」と話し、「怪我人を出さないために、急激な負荷増加や不足は避け、段階的に負荷を上げていくことが重要です」と述べる。

段階的に負荷を上げているつもりでも、疲労の蓄積によってパフォーマンスが上がらないことがある。水戸ホーリーホックアカデミーでは、この問題を解消するために、参考にしているデータがある。

それが「RPE(主観的運動強度)」と「ACWR(週計測の急性負荷を、過去4週平均の慢性負荷で割ったもの)」だ。これらを用いて、疲労度を確認しながら練習を進めているという。

「練習後、選手個人にRPEを0から10の数値で入力してもらっています。RPEは、トレーニングや運動の主観的なきつさや疲労度を表します。水戸ホーリーホックでは、練習や試合の1時間以内にコンディショニングアプリツールを使って入力させ、他の選手との相談はなしとしています」

RPEの数値と練習時間をかけ合わせたものが、その日の練習負荷となり、1週間分のデータを蓄積して合計したものが、その週の負荷になる。

「ACWRは、1週間の練習メニューによる怪我のリスクを測る指標で、計測週の負荷を急性負荷、過去4週の平均負荷を慢性負荷として算出します。ACWRが0.8から1.3の範囲になるように設定するのが良いとされています」

ACWRが1.3以上になると怪我のリスクが増加し、0.8以下では体力やパフォーマンスの向上が難しく、傷害リスクが高まるという。そこで、漸進的に負荷を高めることで、傷害発生リスクを軽減し、パフォーマンス向上につなげていく。

「具体的な負荷調整には、練習時間や本数、オーガナイズの調整が有効です。広いオーガナイズで少人数での対人練習は負荷が高く、狭いオーガナイズで多人数での練習は負荷が低くなります。ただし、これは参考であり、テクニカルコーチングスタッフとの相談が重要です。負荷設定を行わない監督もいるため、うまくすり合わせましょう」

PHA(年間で身長が最も伸びる時期)に合わせたトレーニング

育成年代では、練習だけでなく、サッカー以外の活動を考慮して調整する必要がある。学業の優先、学校行事、休み期間、テスト期間での睡眠不足は、疲労が抜けずに怪我のリスクが高まる。さらに、オフの日の学校活動や二重部活なども考慮しなければならない。

「育成年代の子ども達は、プロとは違い、学校生活や成長期、思春期等の背景があります。そこを配慮して、練習プログラムを組む事が重要だと考えています」

動画では、「年間で身長が最も伸びる時期(PHA)」を把握することの重要性にも触れている。詳細は動画に譲るが、水戸ホーリーホックアカデミーでは、毎月、身長、体重、座高を測定してPHAを算出し、適切なトレーニングについて、コーチングスタッフと話し合っているという。

「ジュニアでは基礎体力の養成と動作の獲得を目指し、コーディネーショントレーニングを行っています。ジュニアユースではPHAのピークを迎えるため、全身持久力の強化にアプローチします。ユース年代ではPHAを超えて身長が止まり始め、成人になっていくため、段階的な筋力トレーニングで筋力の獲得を目指してます」

動画では、成長期に取り入れたいトレーニングとして、10歳から14歳をターゲットに5つのメニュー(グーチョキパー、ボールフィーリング、手押し車体幹トレーニング、ハーキートレーニング、ミラーゲーム)を紹介している。

ウォーミングアップで取り入れたい、コーディネーション、アジリティ、加速、減速要素や、ゲーム要素を取り入れた、楽しみながらできる効果の高いメニューなので、ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」の動画を参考にし、日々のトレーニングに取り入れていただければと思う。

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【講師】道場悠介/
高校卒業後トレーナーの道に進む為、花田学園の専門学校に進学。6年間在学し柔道整復師、鍼灸師、アスレティックトレーナーの資格を取得。学生時代から千葉県の整骨院で働きながら、学業を両立。2017年整骨院からの派遣でブリオベッカ浦安(JFL)のチームトレーナーに就任。JFLから関東リーグを経験し6年間在籍。2023年から水戸ホーリーホックアカデミートレーナーとして就任し、主に怪我人のリハビリ、応急処置、障害予防のウォーミングアップ等を担当している。

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