サッカー練習メニュー
2024年10月 7日
「攻撃の優先順位と推進力を持ってゴールに迫る」ポケットを活用するための、攻撃的トレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回より「ゴールの確率を上げるためのポケットへの侵入」をテーマに、SC豊橋アゼリア ヘッドコーチ兼GMの加藤到コーチによるトレーニングを公開している。
ポケットとは、主にゴールエリア脇、ペナルティエリア内サイドのスペースを指し、この位置に侵入することで、攻撃を優位に進めることができる。
後編のテーマは「攻撃の優先順位と推進力を持ってゴールに迫る」。ゴール前の状況を設定したトレーニングを通じて、得点につながるプレーの精度を高めていく。(文・鈴木智之)
クロッサーを使ったトレーニング
後編のトレーニングは「2対2+1クロッサー+GK」から行っていく。
ゴール前の設定で、サイドにクロッサー(クロスボールを上げる選手)を置き、2対2+1クロッサーの状況で、攻撃側はゴールを目指す。
クロッサーは前編から通じて、意識すべきスペースとして取り組んできた「ポケット」(主にゴールエリア脇、ペナルティエリア内サイドのスペース)まで侵入可能というルールだ。
加藤コーチは選手のプレーを観察しながら、中央でプレーする攻撃の選手が、クロッサーへ出すボール(サイドチェンジ)の質に言及。
「強いボールにこだわってやろう。それに対してアクションを起こす」とデモンストレーション。サイドに速いパスを出すことで、攻撃のスピードが上がるとともに、素早いプレーが可能になるため、守備側も対応しづらくなる。
ほかに「クロッサーはポケットの奥まで侵入することで、折り返しのボールに角度がついて、シュートが打ちやすくなる」といったポイントを提示。具体的かつ実行的なアドバイスなので、詳細は動画で確認してほしい。
ゴールへの意識を持った上でプレーする
続いては「4対4+2クロッサー+2GK」。両サイドにクロッサーを置き、実際の試合に近い形で実施。
ルールとしては、GKから直接、クロッサーにボールを出すのはなしで、必ず中央の選手を経由する。
加藤コーチは守備に対して言及し、「ゴール前の設定なので、相手を簡単にペナルティエリアに侵入させないこと」「守備の選手はペナルティエリアにとどまることなく、ラインを上げてコンパクトにする」といった部分にコーチングしていった。
攻撃に関しては「前にスペースがあるのならば、持ち上がってシュートを打つ。そこで相手が中を閉めるから外が空く」と説明。ゴールへの意識を持った上でプレーすることの重要性を再確認していった。
ほかに「GKがボールを持っているときのアクションの方向」「疲労によるアイデアの低下」にも言及し、「フリーのときに次のことを考えて、ワンタッチの選択肢を持つ。疲れた状況で何ができるかを考えよう」と締め直した。
ルール変更でプレーが変わる
その後、「クロッサーはゴールに近いエリアに侵入しないとクロスを上げられない」というルールを追加。
そうすることでクロッサーがクロスを上げる位置が深くなり、ゴール前に入る動きのバリエーションにアプローチすることができる。
ルール変更で導き出す現象が変わる部分は非常に参考になるので、「COACH UNITED ACADEMY」で動画でその様子を確認してほしい。
最後は「クロッサーがワンタッチでクロスを上げて、ゴールが決まったら2点」「クロッサーのエリアに1人だけ入ってもOK」というルールに変えて、アクションを起こすことへ意識を向けさせるとともに、実際の試合に近づけていった。
攻撃は得点を奪うことが目的
トレーニング終了後、加藤コーチは「チーム全体でどこのスペースをとりながら、どうやって攻撃していくのか。共通認識を作ることがポイントです」と説明。
一方で「攻撃は得点を奪うことが目的なので、ポケットをとることが目的になってはいけない」とCOACH UNITED ACADEMY読者に向けて、改めて整理していた。
動画を通じて、加藤コーチのわかりやすいコーチング、デモンストレーションに加えて、ルールを変更しながら、起こしたい現象を導き出す点にも注目していただけると、より理解が深まり、トレーニングに取り入れやすくなるだろう。
学ぶべきポイントが多いトレーニングなので、ぜひ動画を繰り返し見て、参考にしていただければと思う。
【講師】加藤到/
愛知県名古屋市出身。大学卒業後公立高校教諭を経て、現在へ。 現在ここいの株式会社ものづくり部に所属し、ITARU METHOD FOOTBALL 代表(著書「ITARUメソッドの教科書」)、社会人チーム「S C豊橋アゼリア」ヘッドコーチ兼G M、サッカー指導者勉強塾「蹴到ラボ」代表をしている。海外でのプロジェクトも着々と進めており、台湾「EC.DESAFIO TAIPEI」のコーチデベロッパーとして約2ヶ月に1度台湾に赴き現地の選手・コーチたちとチームの強化に当たっている。また指導者講習会やクリニックを展開して指導者養成・選手育成に力を注いでいる。ネパールやウガンダのサッカーアカデミーのコーチとしても活動をしている。JFA 公認 A 級ジェネラルライセンスを所持。