サッカー練習メニュー
2024年10月28日
クラブ発足わずか4年で全国レベルに!FC ZEROが実践する「つながりを意識した、組織的守備トレーニング」
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
今回は、大阪の強豪クラブFC ZEROの中島優監督による「失点リスクを減らすためのつながりを意識した、組織的守備トレーニング」の動画を紹介したい。
FC ZEROは2021年に発足した新しいクラブだが、2024年にフジパンカップ関西優勝、チビリンピック全国大会3位、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジでベスト8と、輝かしい成績を残している。
チームを率いるのは、名門・国見高校時代に全国出場経験を持つ、中島優氏。短期間でチームを成長させてきた中島監督は、どのようなトレーニング、コーチングで「組織的守備」の考え方を植え付けていくのだろうか?(文・鈴木智之)
リフティングで身体操作性を高める
COACH UNITED ACADEMY動画、前編のテーマは「少人数から始める守備の連動」。まずはウォーミングアップとして、地面に置いたコーンをリフティングでかわしていく。
最初は「リフティング中にジャンプし、直後のボールタッチは逆足」というルール。中島監督は「なるべく逆足も使えるように」「ボールを上げる場所、高さ、ジャンプのタイミングを修正して」と声をかけていく。
その後、太ももは使わずにリフティングすることで難易度を上げる。選手たちがリズミカルにリフティングし、コーンを越えていく様子は動画で確認してほしい。
ここからは「2対2」のトレーニングを実施。設定としては、攻撃側が守備側を背負った状態で、パスを受けてスタート。最初のパスを出した瞬間に、パスを出した選手と守備の選手もグリッドインし、2対2を行う。
中島監督はまず、守備側に「攻撃の選手に対して、ディフェンダーはインターセプトを狙ってOK。インターセプトが無理だったら、ファーストタッチを狙う。それが無理だったら、前を向かせない」と守備の考え方を整理して提示していく。
続いてフォーカスしたのが、ボール保持者と対峙していない、守備の選手のプレー選択。このトレーニングは、守備側を背負った状態の攻撃側の選手にボールを入れるところからスタートするため、もう1人の守備の選手が、素早くアプローチをかけることで、局面的に守備2対攻撃1の状態ができる。
そこで「1対2ができるにも関わらず 1対2を避けて、1対1と1対1を2つ作ってしまった。 そうではなくて、早く1対2を作りに行こう」とアドバイス。状況に応じたコーチングの詳細は、ぜひ動画で確認してほしい。
また中島監督は「ディフェンスはフィジカルだけで守るのではないからね。頭を使って守れば、フィジカルがなくても、相手の方が上回っていてもボールは奪えるし、チャンスを防ぐことができる」とアドバイス。
「例えばラインをちょっと上げるとか、相手を挟みに行くとか、ここで1対2ができる、奪いにいける。ライン上げたらオフサイドだなと、ディフェンスとしてのチャンスに気づこう」と、主体的に守備をすることの重要性を伝えていった。
守備時のコーチングを意識する
前編最後のトレーニングは「4対2」。7m×7mのグリッドで実施し、1セット1分。攻撃側はアンダー2タッチで、グラウンダーのパスのみとする。攻撃側はパスを15本つなげば勝ち。守備側がボールに触ったら、カウント0から再スタート。また攻撃側はビブスあり、ビブスなしに分かれ、ビブスなしの選手同士が守備側の間にパスを通したら、パス5本分に換算する。
イメージとしては、ビブスなしの選手が、ビルドアップ時のセンターバックとFWの縦の関係。両サイドのビブスを着た選手がサイドという位置関係を頭に入れてプレーすることがポイントだ。
このトレーニングで中島監督が注視したのが、守備2人の関係性。2人の間を抜かれないために、守備2人の距離が近いと、外側でボールを回されてしまう。
「2人の距離が近すぎても遠すぎてもだめ。1人がボールに行ったら、間をケアしながら、サイドの選手にプレッシャーに行くことを考える。そしてボールが入ったらそこに行く」
さらに、互いにどっちのパスコースを切るか、コーチングすることを強調。「後ろの選手が右と言ったら右。左と言ったら左を必ず切る。指示を出した選手は、ファーストディフェンダーに右を切らせたら、間か左に出るボールを狙うこと」とアドバイス。
中島監督が自ら入り、デモンストレーションをしているので、その様子はぜひ「COACH UNITED ACADEMY」にて動画で確認してほしい。
瞬間的に数的有利な状況を作る
以上で前編のトレーニングは終了。中島監督は「2対2では、瞬間的に数的有利な状況を作ることを意識しました。4対2では、逆サイドへ侵入させないことが重要です。数的不利な状況で、簡単に縦パスを入れられると相手に侵入を許してしまうので、2人で連携しながら間を閉じつつも、パスコースを限定しながら時間を稼ぎます」と総括した。
次回の動画後編では5対2、6対6+サーバーのトレーニングを行っていく。
【講師】中島優/
国見中学、国見高校でプレーし、全国大会に出場。2021年8月に『FC ZERO』を発足し、2024年にフジパンCUP関西大会優勝、チビリンピック全国大会3位、ワールドチャレンジベスト8という成果を上げた。少数精鋭のチーム作りを行い、選手一人ひとりに目が行き届く丁寧な指導を実践している。JFA公認C級ライセンス保持。