サッカー練習メニュー

2024年12月 9日

育成年代のスペシャリストが伝授!サッカーの原理原則に基づいた、フィジカル向上トレーニング

サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。

今回から、サッカー指導者兼フィジカルコーチの鎌田豊氏による「小学生低学年から中学生年代までの一貫指導プログラム&フィジカルトレーニング」をテーマとした講義と実技を紹介したい。

サッカー指導者として豊富な経験を持つ鎌田豊氏は、早稲田JFC、国分寺キッズアカデミーでの指導や国分寺FAで監督を務める傍ら、U-12専属フィジカルコーチとして、年間1000人以上の小・中・高校生への指導を実施。

育成年代の選手に向けたフィジカル向上のスペシャリストは、どのような考え方、トレーニングのもと、選手の身体能力を高めていくのだろうか?(取材・文 鈴木智之)

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サッカー選手に必要な6つの能力

ジュニア年代から中学、高校、大学。そして成人とあらゆるカテゴリーでの指導経験を持つ鎌田氏は「発達段階に応じた、適切な指導の重要性」を説く。

小学生低学年から中学年における指導については「スポーツが楽しいと思ってもらうことが大切です」と述べ、「できる、できないに関わらず、トライすることを称賛しましょう」と強調する。

この時期は運動の導入期であり、サッカーの基本となる原理原則を学ぶ重要な段階だ。そこで「フィジカルコーチは、フィジカル向上とともに、子どもたちを励ますコーチングをしていきます。中学生年代では、より具体的に身体構造を伝え、正しい姿勢でプレーできるようにコーチングをしていきましょう」とアドバイス。

その上で、サッカー選手に必要なフィジカル能力を挙げる。それが以下の6つだ。

間欠的持久力/間欠的高強度運動能力/スプリント能力/筋力発揮能力/敏捷性/バランス能力

サッカーは絶え間なく動き続け、片足でボールを扱うスポーツだ。そのため、サッカーを始めたばかりの小学生年代では、スプリント能力/筋力発揮能力/敏捷性/バランス能力を高めることがポイントになる。

「COACH UNITED ACADEMY」動画では、遊びの中でこれらの能力を高めることのできるトレーニングを紹介している。実際に鎌田氏が指導するチームで、子どもたちが実施している様子が収録されているので、ぜひ動画を確認してほしい。

サッカーの原理原則を理解する

続いて講義は「小学生年代で特に必要なフィジカルトレーニング」として、4つの要素を紹介。この年代では、ランニングフォーム、コーディネーション、アジリティ、バランスといった、基礎的な要素にアプローチしていきたい。

「フィジカルトレーニングをしましょうと言っても、サッカーの原理原則を理解していないと、サッカーのプレーにつながっていきません。そこで小学生年代では、攻撃ではボールを保持すること、守備ではボールを奪うこと。この2つを抑えながら、スプリントトレーニング、身体操作トレーニング、動き作り、バランス、これらを組み合わせたトレーニングが有効的です」

鎌田氏は「スプリントトレーニングの目的は、正しいランニングフォームの獲得です。軸がブレないことで綺麗な走りにつながるので、しっかりとした軸を作ることを目的にしています」と話す。

また、身体操作トレーニングの目的は「自分の身体を思い通りに動かせるようにする、コーディネーションの能力を高めるためのトレーニング」と説明。

動き作りトレーニングについては「多種多様な動作を獲得し、動作の洗練化につなげていきます」と話し、バランストレーニングは「身体の芯を鍛えるとともに、バランス能力を向上させていきます」と述べた。

COACH UNITED ACADEMY動画では、体幹トレーニングを始め、上記の観点から必要なトレーニングを多数、収録しているので、ぜひ動画をチェックしてほしい。

正しい姿勢を意識する

さらに鎌田氏は、怪我予防の観点から、柔軟性向上トレーニングの重要性を指摘する。

「小学生でも怪我をする子は多いです。怪我予防やパフォーマンスを向上するためにも、ストレッチをしっかり行って、体を柔らかくしましょう」とアドバイスを送る。

怪我に関して、成長期の中学生年代ではより深刻になる。鎌田氏は「中学生年代では、具体的に身体構造を伝え、正しい姿勢でプレーできるようにコーチングしましょう」と述べ、「正しい姿勢で走るといった、動作を獲得することでパフォーマンスが上がっていきます」と説明する。

また中学年代では、持久力トレーニングにもアプローチしたい。「中強度のトレーニングは、長時間に渡って運動を行う能力を向上させたり、高強度運動後の素早い回復能力を向上させます」と話すとともに「有酸素性高強度トレーニングを行うことによって、長時間に渡って高強度運動を行う能力、そして運動後に素早く回復する能力が向上します」と、効果を解説。

これらのトレーニングを実施する際の注意点として「段階的に頻度や回数を増やしていくこと。子どもたちの成長レベルに応じて、トレーニングを変化・進化させていくこと」と説明。このあたりは指導者の観察眼が問われるところだろう。

以上で前編は終了。後編では「速く走る、素早く動く」をテーマに、小学生低学年から中学生年代までを見据えた指導プログラムと、自宅でできるフィジカルトレーニングを紹介する。

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【講師】鎌田豊/
東京都出身。母校の中学校で指導者としてのキャリアをスタート。現在は、ワセダJFC と国分寺FA、国分寺キッズアカデミーで監督兼代表を務め、日本初U-12専属フィジカルコーチとしても活動中。フィジカルコーチとして、立川高校サッカー部(東京都)でも指導を行っている。また、2023ビーチサッカー日本代表フィジカルコーチとして、2024ワールドカップUAEへ帯同し、世界ベスト8へ貢献。

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