運動能力

2014年1月22日

パワーが必要? C.ロナウドのような弾丸シュートを蹴りたい!

先日、FIFAバロンドール(年間最優秀選手賞)を受賞したばかりのクリスチアーノ・ロナウドが、とんでもない弾丸シュートを決めたことが話題になっています。
1月18日のベティス戦、開始10分のことでした。左サイドでドリブルを開始したロナウドは、巧みなステップと圧倒的なスピードでDFを振り切るようにして中に切れ込みます。ゴールまでの距離はおよそ26m。ドリブルの加速をそのままボールに伝えるようにして放たれた弾丸シュートは、ネットを突き上げゴール。このシュートの時速はなんと132㎞。このシュートにGKは一歩も動くことができなかったのですが、映像で見ても「触ったら危険かも?」と思ってしまうような強烈なシュートでした。
矢のような弾丸シュートはサッカーのプレーの中でも、ハイライトのひとつです。過去にも大勢の弾丸シューターたちがとんでもないスピードのゴールを決めています。ブラジルの名手、ロベルト・カルロスは時速140㎞台のFKを連発し"悪魔の左足"として相手チームから恐れられました。サッカーのシュートの場合、映像を元にスピードを解析することが多いので、正確な速度かと問われると疑問符がつく場合多いのですが、世界最高速はかつてジーコらとブラジル黄金時代を築いた左ウイング、エデル・アレイショ・デ・アシスだと言われています。そのスピードはなんと174.5㎞! レジェンドの記録ですので眉唾なところもありますが、ジーコやリベリーノら伝説的なフリーキッカーを差し置いてブラジル代表・セレソンの長距離シュートを任されていたのですから、シュートの強烈さは疑いようがありません。
クリスチアーノ・ロナウドのようなシュートを蹴りたい。誰もが夢見る強いシュートを蹴るためにはどんな練習が必要なのでしょう。今回は身体の使い方を中心に弾丸シュートを蹴るための取り組みについて考えてみたいと思います。

■パワー不足? 弾丸シュートは筋力で打つのか?

「やっぱりパワーが足りないからなあ」
 サッカーへの理解があまりないと、シュートの強さは筋力の問題にすり替えられてしまいがちです。ロナウドのパキパキに割れた腹筋を見てしまうとなおさらそう思ってしまうのですが、筋力に頼った蹴り方ではあそこまでのシュートは打てません。ましてやこれから筋肉がついて行く段階の子どもたちに「パワーをつけろ」というのは本末転倒。子どものうちは特に筋力に頼らない効率のいい、正しいフォームを身につけることが先決です。
 そのためにはやはり、シュートをたくさん蹴ること。「量より質」という言葉がありますが、練習においては「量が質に変換される」という考え方もあります。力任せに蹴っていたのでは、すぐに疲れてしまいますが、ヘトヘトになっても蹴りやすい蹴り方が見つかる。それが正しい蹴り方だと言います。
 
ボールのどこを蹴ると力がうまく伝わるのか?蹴り足はどれくらい振り上げるのがいいのか?踏み込み足の位置をずらしてみるとどんな変化があるのか?子どもたちが自分の身体と対話しながら、いろいろなシュートを蹴ってみることで新たな発見をしていくことこそが、正しいシュートフォーム作りに必要なのです。

■いまの蹴り方の「結果」を見るのではなく、「原因」を見る

 このとき気をつけたいのが、周囲のアドバイスです。的確なアドバイスは飛躍的に技術を向上させますが、お父さんやお母さんの声がかえって混乱を呼ぶこともあります。
「インパクトを強く!」「もっと早く足を振って!」
いまは一流選手のフォーム解析なども進んでいるので、いろいろな知識を得ることができます。お父さんやお母さんも、自分なりにプロ選手との比較をしているのかもしれません。ここで注意したいのが、このようなアドバイスは意識という点では有効かもしれませんが、外から見た現象を指摘しているだけだということです。技術的な裏付けのない抽象的なアドバイスは「もっと強いシュートを蹴って」と言っているのと大して変わりません。指導者は子どもの蹴り方に現れる結果を見るのではなく、原因を見てアドバイスしているはずです。早く足を振り抜けない原因はフォームにあるのか、踏み込む足にあるのか、それとも上半身の使い方に問題があるのか。ダメなところを指摘するだけでは、子どもはどうしていいかわかりませんから、いまの蹴り方を外から見てアレコレ言うのは控えた方が良さそうです。

■特選! 強シュートを蹴るベースを作るトレーニング

強いシュート蹴るためには、それを支える身体作りも必要です。先ほど、筋力に頼らないと言いましたが、正しい身体の使い方をするための基本となる体幹を鍛えることは、いたずらに筋力に頼るのとは違います。筋トレというと、マシンなどを使い負荷をかけたトレーニングが思い浮かびますが、子どもたちのトレーニングは自重を使ったもので十分。一般的に筋トレと呼ばれる、部分だけを鍛えるトレーニングを禁止しているチームも多くあるほどです。
クリスチアーノ・ロナウドの肉体美から学んでほしいことがあるとすれば、上半身と下半身のバランスでしょう。ボールを足で扱うサッカー選手に上半身は関係ないと思われがちですが、強いシュートを蹴るためには上半身や手の使い方が不可欠と言われています。ロナウドはボディビルダーも驚くような筋トレをしていますが、ムキムキになることを目的にしているわけではありません。余計な筋肉をつけたことでスピードが落ちたり、いいパフォーマンスが発揮できなくなった選手も数多くいます。ロナウドは強いシュートを蹴るために全身をうまく使い、さらにその上に均整のとれた筋肉をまとっているのです。
子どもたちに取り組んでほしい実際のトレーニング方法についてはサカイクでもたくさん紹介しています。
【基本のフロントブリッジや、正しい姿勢作りをサポートするストレッチ】
少年サッカーに活かすトレーニング 96ジャパンを支えた身体作り
サッカーに活かす正しい姿勢づくりを96ジャパントレーナーが伝授
【股関節周りを強化するエクササイズや、素早い動きを可能にするトレーニング】
足が速くなるために!ゴールデンエイジに取り組みたいトレーニング
運動神経を高める② ダイナミックなプレーにつながるトレーニング
 これらは、いずれも強いシュートを作るためのベースになる身体作りに効くトレーニングです。サッカーに必要とされるしなやかな身体を手に入れるためには運動前のアクティブ・ストレッチも組み合わせて行うとより効果的でしょう。
どの筋肉が伸びているか?を意識してやろう! 今日からできるアクティブ・ストレッチ
こうしたエクササイズやトレーニングは継続することが何より大切。どんなトレーニングをするにしても、ただ漠然とやっていたのではつまらないし、すぐに飽きてしまいます。「弾丸シュートを蹴りたい!」という子どもたちの明確な目標に沿ったメニューを提案してあげれば、効果は倍増! まずはロナウドの筋肉ではなく、蹴り方、身体の使い方を真似してみましょう。
【この記事を読んだ人にはこちらもオススメ!】
【DVD】サッカー界の常識は、スポーツ界の非常識-弾丸シュートを蹴る方法
C・ロナウド、5年ぶり二度目となるバロンドール受賞

元日本代表・久保竜彦の弾丸シュートがキミのものに!

  • 出演 : 夏嶋隆 / 久保竜彦
  • 3,150円(税込)
1

関連記事

関連記事一覧へ