運動能力

2019年6月25日

足裏の刺激でプレーが上達し、怪我も減る? 「第二の心臓」足裏の重要性とは

足裏は「第二の心臓」と呼ばれているのはご存知ですか。

足裏は身体を動かす上で重要な役割を果たし、機能していないと怪我にも繋がるというのです。

イングランドやタイなどでアスレティックトレーナー、メディカルトレーナーとして多くの実務経験を積み、現在は日本のスポーツ医療体制を変えるコミュニティ「Spolink JAPAN」の代表を務める奥村正樹さんに、前回はバレエとサッカーの共通点、身体の軸のお話などをお聞きしましたが、今回はサッカー選手の足裏事情についてお話を伺いました。(取材:内藤秀明)

 

<目次>

1.サッカー選手の足裏事情
2.足裏の果たす役割と重要性
3.子どもの足裏の感覚を取り戻すために、親は何ができる?
4.足裏刺激で頭よくなることも?

 

<<前回:バレエの動きがサッカーにも役立つ? 身体の軸を強くする、驚くべきその共通点とは

 

■サッカー選手の足裏事情

奥村さん曰くクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)やリオネル・メッシ(バルセロナ)などの有名な選手はだいたい足裏がきれいだそうです。


サッカーのプレーでも大事な足裏。身体が正しく使えているとマメやタコはできないそう(写真はサカイクキャンプ)

 

足裏がきれいとはどういう意味があるのでしょうか。

「僕は最近InstagramとかTwitterで有名サッカー選手の足裏の写真とかひたすら探したりしてるのですが、だいたいみんな綺麗ですね。足裏にマメやタコがないんです。

つまり特定の箇所に体重がかかっておらず、分散できていることです。また上手なサッカー選手は足の指先もある程度ピっと伸びていることが多いです。いわゆる浮指ではないということです。もちろん対戦相手に削られて外傷を受けることはありますが」

 

■足裏の果たす役割と重要性

奥村さんは足裏は手と同じくらい、重要な役割を担っていると語ります。

「サッカーに限った話ではありませんが、人間は立った時に唯一地面と接するのが足裏です。そのため身体をうまくコントロールするためにも、足裏の感覚は鋭敏である必要があります。『第二の心臓』だと言われるくらいには重要なんですよ。

ただ近年の子どもは裸足で遊ぶ機会も減っているため、足裏の感覚が弱くなってきています。

足裏全体の感覚が弱くなったり偏ったりすると、自分の重心の状態を察知できませんし、バランスをコントロールすることもできません。

例えば重心が外側ばかりに偏っている場合、内側に重心をかけて体重移動をしないといけない場面で上手く身体を操作できません。その結果、無理に足裏の外側を使ったりすることで、瞬時に動き出せないことなどもあります。

また足裏に問題があると、膝や腰の怪我にも繋がってしまいます。やはり日本人に多いのはオスグッド(膝の脛骨が出っ張って痛む骨軟骨炎)やシンスプリント(脛骨の下部に痛みが発生する症状)などです。足の内側の拇指球の下のあたりにタコがよくできる場合も怪我が多い印象があります。歩く時に常に親指が上がっているんでしょうね」

 

■子どもの足裏の感覚を取り戻すために、親は何ができる?

では具体的に親は子供のために何ができるのでしょうか。

「まずは裸足で遊ぶ環境を作ってあげることでしょうか。足裏を使う機会を増やしたいですね。イングランドだといたるところに芝生の公園があって、夏だと裸足でよく走り回っています。芝生のツンツンした触覚が足裏の感覚を刺激する上でいいのだと思います。日本だと少ないかもしれないですが、できれば芝生の公園に連れて行ってあげて欲しいです。

他にも意図的に指を動かすことも重要です。他にも毎日足裏をグーパーグーパーする動きや足の指を一本一本動かす練習も効果的です。最初は難しいと思いますが、やればできるようになります。たとえば自分で人差し指を『あなたを今使ってあげてますよ』っていうのを理解させながら押すんですよ。

あとは靴選びです。常に適切なサイズを買い与えてあげて欲しいです。完全にぴったりというより、足の指が動かせるくらいには余裕があるくらいの大きさが良いと思います。

とはいえ大きすぎは禁物です。『すぐに足も大きくなるだろうと』大き過ぎるサイズの靴を選んでしまうと、足首を曲げてつま先を上げることで、靴をひっかけるような履き方になります。その状態では筋肉が緊張してしまい、しなやかな動きを失ってしまいます。

そういう意味では、紐やマジックテープで縛れないサンダルなども同様の理由で好ましくないですね。理想を言えば、靴紐のついたスニーカーを履くべきです。ただ子供の場合、自分で靴紐を結べないこともあるので、その場合はしばらくマジックテープ形式のものでもいいですね」

 

■足裏刺激で頭よくなることも?

「脳神経麻痺なども、身体の末端を動かすのが一番回復すると言われてるんですよ。脳に刺激を与えることができるんです。

なのでまだ仮説なんですけど、足裏を上手く使えている人は頭もいいんじゃないかと思っています。例えば一本下駄って足裏をすごく刺激するので、個人的にはいい履物だなと思っているんです。足裏を刺激すると脳が活性化される効果もあるのかなと。

そういう意味ではいつか日本でトップクラスの学力を持つ生徒が集まる東大のスポーツ部員の足の裏を見てみたいですね。もしかしたらものすごく綺麗なのかもしれません」

と足裏を刺激する可能性について語ってくれました。

次回は、男女で異なる「ケガのリスク」についてお送りします。骨盤の傾きや聞きなれないけれど重要な「Qアングル」などについてお伝えしますのでお楽しみに。

 

<<前回:バレエの動きがサッカーにも役立つ? 身体の軸を強くする、驚くべきその共通点とは

 

奥村正樹(おくむら・まさき)
アスレティックトレーナー、メディカルトレーナー、鍼灸師
専門学校を卒業したのち、スポーツに特化した整形外科や接骨院に勤務して外傷治療や主義を学んだ後、2015年に渡英。イングリッシュ6部リーグのセミプロチームでトレーナーとしての経験を積む。イングランド在住時には元日本代表FWの岡崎慎司選手のパーソナルトレーナーも務めた。その後当時タイ2部リーグに所属していたシンブリーFCと契約。約1年間タイで現場経験を積んだのち帰国。現在はフリーランスのトレーナーとしてJリーガーのパーソナルトレーナーなどを務めている。

1

関連記事

関連記事一覧へ