運動能力

2023年5月25日

【小学生向け】速く走るためのトレーニング方法、運動会前にすぐに足が速くなる方法|動画で解説

サッカーの試合中、速く走りたい、素早い動きができるようになりたい! というのはもちろんですが、小学生にとっては運動会の100m走やリレーでも速く走れるようになりたいというのも大きな願いですよね。

その願いを叶えるためには「スピードとはなにか?」を理解することが大切です。

今回は、小学生が速く走るための3つの要素、正しいフォームを身につけるコツ、トレーニング方法をお伝えします。

動画での解説、タニラダーを使った練習法も紹介しますのでご覧ください。正しい知識を得て正しいフォームで練習することがスピードアップにつながります。
(取材・文:鈴木智之 撮影:藤森悠二)

 

速く走るために大事なポイントを教えてくれました

 

<目次>

1.速く走るために必要な3つの要素
2.ポイントは足指 スピードアップのコツ、家でできるトレーニング方法
3.方向転換のスピードを上げるポイント
4.速く走るための適切な足幅とは
5.ラダーを使ったトレーニング方法

 

■速く走るためのポイント、フォームとは

 

■速く走るために必要な3つの要素

ヴァンフォーレ甲府のフィットネスダイレクターの谷真一郎さんは「プレースピード」を次の3つに分類します。

それが、

1:判断スピード

2:走るスピード

3:方向転換のスピード

です。

「判断スピードとは、いつ、どこへ動くかを決断するためのスピードのことを指します。これは、チーム戦術や個人戦術によって左右されるものですが、『このタイミングでここに動く』という決断ができれば、あとはいかに速く動くことができるかの勝負になります」

速く動くために必要なのが、先に挙げた、2:走るスピード、3:方向転換のスピードです。

「速く動くためには、進行方向に対して、大きなエネルギー(推進力)を得ることが必要です。このエネルギーは、地面を足の裏で踏み込むことで得ることができます。そのベース(前提)となるのが、正しい姿勢です」

地面から得られるエネルギーを「地面反力」と言います。この地面反力を得るために適した走りの姿勢が、下の図になります。

 

 

「地面に対して身体が少し斜めになるように前傾し、視線は進行方向を向き、顔を上げます。前傾姿勢を作ると、足の指の付け根に体重がかかるので、地面をしっかりと押さえることができます。この『地面を足の裏で押さえる力』が弱いと、踏みしめた足が後ろに流れたり、滑ってしまうので、前傾しすぎず、後傾しすぎない姿勢を維持しましょう」

その姿勢で足を速く動かす動作を単一時間内に大きく繰り返し、地面から大きな地面反力を受け取り続けることで、スピードがアップします。

 

■足指で地面をつかむことがスピードアップのコツ、家でできるトレーニング方法

「いまの子どもたちは、良い姿勢を作ることを苦手としています。とくに、『浮き指』と呼ばれる、足の指が浮いてしまい、地面をつかむことができない子が増えていて、その数は実に9割以上と言われています」

足の指はトレーニングをすることで、効果的に動かすことができるようになります。足の指を使ってじゃんけんをしたり、タオルを足の指でつかんで引っ張るなど、毎日繰り返すことで動くようになるので、ぜひやってみてください。

地面からのエネルギーを受けて進んで行くときの理想的な走る姿勢は、肩とひざ、拇指球(足の裏の親指の付け根)が同じラインにあること。そして、力まずに肩の位置を固定し、ひじの角度を90度に曲げて走ります。

「足の裏が地面と接地する際の、足首の角度変化は最小限にとどめましょう。加えて、膝が屈曲しないように気をつけてください。ひざと足首をロックして、角度の変化を最小限に抑えることにより、接地時間が短くなり、スピードアップにつながります。そして足をひざから上げることでストライドが広がり、地面を押す力も増していきます」

足首がぐにゃぐにゃしていたり、ひざを必要以上に曲げると、地面反力を吸収してしまい、前に進むエネルギーへと変換する効率が悪くなってしまうので気をつけましょう。

「そして、より大きな地面反力得るために、全身をひとつのかたまりにするイメージを持ってください。いわゆる『全身をパックする』状態です。全身の筋肉を同調させることが、速く走るためのポイントになります」

ここまでが、走るスピードをアップさせるための体の動かし方です。

【補足】足指をしっかり使えるようになるトレーニング 詳細はこちら>>

 

■方向転換のスピードを上げる

次に、「方向転換のスピード」について説明します。

「方向転換の動きと直線のスプリントの違いは、3つあります。それが、1:接地の仕方、2:姿勢(体勢)、3:パワーポジションです」

接地するときは、足の指の付け根ではなく、親指の下にある拇指球から土踏まずによってできる、足裏の内側のアーチで地面を押します。

「方向転換するときに、直線の動きと同じ足裏の場所(足の指の付け根)で接地すると、ひざが曲がってしまい、動きにタメができてしまいます。その結果、方向転換に時間がかかり、スピードが遅くなってしまうので、足裏の内側で接地するようにしましょう」

足裏の内側のアーチで地面を押し、地面反力を得るためには、半身(はんみ)の姿勢もポイントになります。ひざをロックした状態にし、上半身を肩ひとつ分正対させることで、骨盤を素早くひねることができ、足を踏み変えることで左右どちらにも動きやすくなります。

 

■速く走るための適切な足幅とは

そして、3つ目のポイントが「パワーポジション」です。これは「地面反力をもっとも得られる足幅」のことです。

「足を肩幅に開き、何度か地面を押してみて、強い反発を得られる場所を探してみましょう。それがパワーポジションです」

パワーポジションで地面を踏むことを繰り返すことで、地面反力を得て、素早い方向転換ができます。

「やりがちなミスとして、内側の足でターンをすること、ストライドが広すぎること、進行方向につま先を向けて、蹴り出すことなどがありますが、まずは適切なパワーポジションを身につけ、素早く足を踏み変えることができるように、ラダーを使ってトレーニングしていきましょう!」

 

【動画で学ぶ】タニラダーを使ったトレーニング例

地面反発を受けることが基本になります。まずはしっかりパワーポジションを身につけましょう。

 

谷真一郎(たに・しんいちろう)(ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクター)
筑波大学在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。 引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年から2019年までヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。2020年よりヴァンフォーレ甲府のフィットネス関連の活動に携わるフィットネス・ダイレクターに就任。
『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』

※肩書など修正して再アップします

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