前回記事『名波浩が教える!サッカーがうまくなる観戦術』で、「ジュニア年代は、サッカーは真似することでうまくなり、真似するためには試合を観ることが大切」と語ってくれた名波浩さんは、サッカー観戦には4つのレベルがあると言います。
聞き手・構成 篠幸彦
■選手の独特の間にも注目してみよう
――名波さんはJリーグの中ではどんな選手に注目されていますか?
遠藤保仁選手(G大阪)、中村俊輔選手(横浜FM)、中村憲剛選手(川崎F)、小野伸二選手(札幌)ですね。若手で言えば柴崎岳選手(鹿島)、森岡亮太選手(神戸)に注目しています。独特の間や自分のプレースタイルを持っている選手が好きですね。
――確かにいま挙げられた選手たちには独特の間を感じます。
ただ、そういった間を消していく今野泰幸選手(G大阪)や米本拓司選手(F東京)といった真逆のサッカー選手もぼくは楽しいと思いますよ。
――そういった見方も必要ですよね。
ぼくは遠藤選手が90分を通して米本選手に潰されていて「今日の遠藤選手は調子悪いな」と思うのは二流だと思います。そこで「米本選手すごいな」と思えたら、それは一流の考え方が備わっているなと思いますね。「今日の米本選手に対峙されたらさすがの遠藤選手もだめだね」というお父さんに「そうだね」と言える子どもになってほしい。そうすると自分のプレーもきっと変わりますよ。
――それはどういう変化に繋がるのでしょうか?
たとえばその試合で、米本選手のボールへの素早いアプローチから遠藤選手がボールを奪われたとします。もし、その子どもが「遠藤選手が米本選手のアプローチをかわせなかった」と感じたのならば、自分が試合のピッチに立ったときに考えると思うんです。小学生なりのスピードのアプローチを自分がかわすためにどうしたらいいのかを考えて工夫するはずです。「今日の遠藤選手は調子が悪かったね」で終わってしまったら、そういう工夫には繋がらないと思います。なぜ遠藤選手は米本選手をかわせなかったのか、その“なぜ”という考え方を常に持てるようになってほしいですね。その答えがわからないうちはコーチや親が教えてもいい。まずはそういうQ&Aを持てるようになることで、遠藤選手に対してだけじゃなくて、よりいろいろな選手のプレーに対して考え方が広がっていくと思います。
聞き手・構成 篠幸彦